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副大統領 高金利政策を非難=大統領との溝深まる=政権中枢から更迭示唆=PLとの連立にも影響

5月23日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】中央銀行の基本金利据え置き決定を不満とする副大統領と大統領の間で意見の対立が深まっている。ルーラ大統領は二十二日、現政権が導入した経済政策に反旗を翻したアレンカール副大統領(PL)を政府の意志決定機関から遠ざける意向を示した。副大統領はPT政権誕生のために党と財界を結びつけた功績がある。大統領の判断はPLとの連立関係に微妙な影響を与えそうだ。

 輸出回廊のインフラ整備のため国有鉄道の復活を発表する式典が、プラナルト宮で行われた。副大統領は同式典で、基本金利に関する中銀決定を非難するあいさつをした。大統領は副大統領のあいさつ内容で事前報告を受けていたが、その考え方を不満として大統領のあいさつは異例の中止となった。
 副大統領のあいさつはルーラ大統領から自由にスピーチするお墨付きを得ていたが、内容は現政権が取り入れた経済政策を基本的に非難するもので、木に竹を接いだ連立政権の矛盾を見せつけるものとなった。
 大統領は党内過激派の処分で意気消沈していたところへ、財界向け新政権の顔であった副大統領との離別にも悩まされることになりそうだ。インフレ撲滅を最優先にする大統領との基本的な経済政策での食い違いが露見し始めたようだ。
 副大統領は財界の代表だけではなく一億七千万の国民の代表として、経済停滞に導く現経済スタッフの基本政策を裁くという。高金利政策のツケはデフレとなって生産の低下、消費の落ち込みを招き、結果として生活水準の低下など全国民の上に降りかかると強調。通貨審議会の決定は、政策不在の無謀な行為と非難した。
 大統領は経済分野から徐々に、副大統領を退ける考えを側近に示した。副大統領の中銀攻撃の新聞記事に接し、大統領はその意向を表明した。ジルセウ官房長官もヤリ玉に上げられた不快感をあらわにして、政府にとって最近、重荷となっていたのは大統領の信任厚い副大統領の経済政策非難であったと述べた。
 大統領自身も、基本金利の引き下げを期待していた。経済政策はパロッシ財務相に一任しているし、中銀はさらにパロッシ寄りであった。大統領には、六月に金利引き下げに踏み切ることで内諾を受けていた。
 大統領は、中銀批判は野党と機関投機家を喜ばせるだけだと副大統領に忠告した。副大統領は天下のご意見番としての立場を考慮され、大統領の忠告は控えめに行われた。大統領府では副大統領の振る舞いは、政治家ではなく事業家のそれだと評されている。
 大統領府には、政治家と企業家代表の「強固な核」と呼ばれる定期会議があり、経済政策の策定で大きな発言力を持っていた。しかしパロッシ財務相が中心で、副大統領はほとんど出席していなかった。