5月24日(土)
サンパウロ連邦大学老年医学研究所は十七日午後二時から、サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の三重県人会館で糖尿病に関する講演会を開いた。援協、救済会、日系高齢化研究グループなどの共催。講師のジャクェリーネ・タカヤナギ医師は、「毎日、血糖値を測定すれば、食事のコントロールも容易」などと、病気との上手な付き合い方を語った。
日系人を中心に六十二人が聴講した。その多くは、糖尿病を自覚している。
タカヤナギ医師によると、日本(東京)で四十代の糖尿病罹患率は男性が四%、女性が二%。これが、シアトル(アメリカ)、バウルー(ブラジル)に居住する四十─七十代の日系人になると、男女ともに、五倍から七倍の数値になる。
主因は食事の変化。日本食は植物性油脂が主体になっているが、移住後に、動物性油脂の多い西洋食を摂取することになるからだ。
糖尿病はインスリンと呼ばれるホルモンの分泌が減ったりするなどして、血液中のブドウ糖(血糖)を体内でうまく利用できなくなり、血糖が血液中にたまって高血糖状態になる状態をいう。
膵臓にあるインスリン分泌細胞が次々に破壊されて異常に不足するタイプ(一型)と、遺伝的な要素に加えて、油分の多い食事や運動不足、ストレスによって発病するタイプ(二型)に分類される。
いわゆる生活習慣病と言われるのは二型。
膵臓がダメージを受けてしまうため、一度、発症すると、「完治することはない」。つまり、病気と共存していかなければならないということだ。
治療を伴わないで長時間放置しておくと、視力障害、腎機能の低下、壊疸などを引き起こす。
病気を早期発見、生活習慣を改善すれば、健康な人と同じような生活を送ることができる。
血糖値は朝食前の空腹状態で百十ミリグラム/デシリットルが正常値。百四十ミリグラム/デシリットルを超えると、黄色信号だ。食後に測定する場合なら、百八十ミリグラム/デシリットルまで許される。
測定器は以前、高価なものだった。今は、百レアルほどで入手できる。タカヤナギ医師は、「自宅で測ったほうが、経済的だ」と、購入を勧める。
摂取する食事内容は、それぞれ異なるので、食前に血糖値を図って、食事をコントールできるという利点もあるからだ。
六十日前の血糖値の平均をみるHbalc検査もある。コレステロールと合わせて三カ月ごとに測ればより効果的になる。
タカヤナギ医師は野菜を主体にした料理にすること、酒・タバコは控えることなどと説明。
さらに、「アドルサンテはコーヒーに入れるなら、二、三滴で十分。ガラナ・ライチ、コカ・コーラ・ライチは、普通のに比べて、害は少ない」と、アドバイスした。
講演会は岩手県人会(三十一日)、ACRE(六月七日)でも行われる。