5月23日(金)
【ヴェージャ誌】高年齢のブラジル人女性をミステリアスに誘惑する魅力がある歌手のネイ・マトグロッソ―。六十一歳のこの男性歌手は、パッシスタ(サンバを踊る人)顔負けに腰を振りながら甲高い声で歌うのが特徴である。サンパウロ州出身の心理療法士アーナ・フライマンさんは、「ネイのセクシーさが女性を引いている」と明言している。
五十代や還暦を過ぎた高齢者の女性が好む歌手は、主に三タイプある。一つはロマンティックな歌が専門の歌手。ロベルト・カルロスなどのケースである。もう一つは良心的な男性タイプ。セルタネージョ歌手のダニエルが当てはまる。
ネイはこの二タイプとは正反対。バイセクシュアル(異性・同性の両方に対して性的欲求を持つ人)だと公言し、舞台姿はいつもセクシー。舞台から降りてファンたちを熱狂させることもあり、とても〃良い子タイプ〃とは言えない。彼の魅力はアーナさんが言うように、そのセクシーさにある。「遊びでやめるという条件なら、僕の脚に触っても構わない」と本人はおどける。
貞潔なマダムたちは、ネイのセンスある選曲や独特な歌い方に引かれると言う。七十歳のE・M・Aさんは、「以前から彼の声が大好き。昔の素敵な歌曲を歌っているのよ」と話す。Eさんは、サンパウロ市でネイのコンサートがあるたびに、サンパウロ州地方都市ブラガンサ・パウリスタから上京する。だが『高年齢での性と愛情』の著者でもあるアーナさんから見れば、「心の底では彼の腰振りに引かれている」そう。
ネイはここ数年、アンジェラ・マリーア、ヴィラ=ローボス、カルトーラなど、著名な作曲家に捧げるCDを収録している。販売枚数は五万~十五万枚に及び、コンサートは月に十回開催。一九七〇年代にバンドの一員としてデビュー。ソロに移ったネイは七七年、観客の前で服を着替えるパフォーマンスで当時の性的タブーを壊した。このころ、白髪の女性に「あなたが女たちを狂わせてるのね」と言われたのをよく覚えているという。