5月22日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】[既報関連]ルーラ大統領は二十一日、政府の社会・産業インフラ整備キャンペーンに応える銀行代表と民間企業代表を迎える予定となっている。政府は雇用創出と景気回復のため各省庁の予算カットを解除した。しかし政府資金だけでは目的達成できないため、民間企業の協力を求めている。政府資金を呼び水に、官民の合弁企業を次々に起業する計画だ。
大統領は十九日、閣僚会議で閣僚自身および次官、長官に民間企業に資金カンパを求めるよう指示した。大統領自身が大統領府に大手民間企業と銀行代表を招き、社会と産業インフラストラクチャー(下部構造)整備の投資計画で協議を行う。
国内総生産(GDP)で近年、ブラジルは途上国中でも遅れを取っている。ブラジルの産業が先進国に追いつき追い越すため民間企業の活力を引き出そうと大統領は考えている。
政府が独自に行うと、五十年かかる開発計画を四年で完成したいという意向だ。大統領府は全国民の意欲に訴え、官民合同の国家的大事業に持って行こうと企画している。これは公共事業の民営化ではなく官民の共同事業であり、大統領の長年の夢という。
会議にはブラデスコ銀行のブランドン氏、オデブレヒト社のオデブレヒト氏、アルコア社のベウダ氏、ヴァーレ・ド・リオドーセのアギネリ氏、イオシペ社のイオシペ氏、ジェルダウ社のジェルダウ氏、ボトランチン社のモラエス氏など財界の大御所が出席する。
官民の共同事業は前政権で、すでに実施され前例があるので新計画の実施はスムースに行くと思われる。その一例は、ボトランチン社の資金援助でゴイアス州北部のメーザ山脈に水力発電所を建設し、ブラジリア首都とトカンチンス州に送電している。
国家四年計画(PPA)のカギは、投資奨励策による生産能力と生産効率の早期拡大としている。大統領はブラジル産業のインフラ整備は現政権の責任だと、企業代表に訴える予定だ。
インフラ拡充のため民間企業の協力を取り付けるには、政府の参加がマスター・キーであることに疑いの余地はないと、大統領は太鼓判を押した。しかし、財政収支の見地から政府出資には限度がある。インフラへの支出より先に、通常の公共投資を推進しなければならない。この政府出資にも、年金改革の結果が影響してくる。
マンテガ企画相原案のPPAは、低所得層への富の再分配により消費拡大と景気回復を図るとしている。これは「サーカスの曲芸」だと批評する経営者は多い。また政府が、経常収支で赤字を出さずに民間資本を増額することと国民の消費拡大は、両立しないと、経営者は批評している。