5月21日(水)
【エポカ誌】ルーラ大統領は黒人の士気高揚を願って、検察庁リオ支部のジョアキン・バルボーザ・ゴーメス検事(四九)を最高裁判事に指名した。
ミナス州パラカツ市出身、父親は左官を生業とし、少年時代をブラジリアで過ごした。地方紙の植字工として夜間働く傍ら、勉学にいそしみブラジリア法大を卒業。パリー大学に留学、法学博士号を取得。一九八四年連邦検察庁に入る。
最高裁史によれば、一九〇七年にエルメネジウド・バーロス判事、一九一九年にペードロ・レッサ判事の二人が、最高裁の黒人判事として就任している。二人とも黒人だが名門出身、無名の庶民出身の黒人判事はゴーメス氏が初めてだ。
カルドーゾ前大統領は、最高裁に初めての女性判事ノースフリート氏を指名した。これは大統領らが、最高裁に変わり種を送り変化を持たせるためだったたようだ。
一般国民に二流国民という潜在意識を植え付けないようにするため、最高裁に下層階級の気持ちを理解できる判事が必要との意見は有識者の間で以前からあった。また黒人の意見を軽視する傾向や無意識の人種差別が、一般社会にあることも懸念されていた。
バストス法相から電話で連絡を受けたとき、ゴーメス判事は米国で学術使節団として訪米中だった。同判事は、労組ともPTとも関係したことはない。黒人ゆえに最高裁判事に抜擢されるのなら指名を辞退するつもりと、同判事は返事した。
ルーラ大統領はゴーメス判事とさらに二人を最高裁の新判事に指名したことで、年金改革についても順調に最高裁の承認を得られると踏んでいる。
長官を含めて十一人の最高裁判事のうち五人の票は賛成であることが確実であり、誤算があったとしても僅差と、大統領はみている。ジョビン判事は前政権の法相を務め、最高裁判事に就任した後もFHC色を鮮明に出していた。判事らは、指名した大統領におおむね忠実だ。