5月21日(水)
【ヴェージャ誌】ブラジル国内に、為替に左右されずに国際市場競争に耐えられる強力な産業地域がいくつかある―。その例は、バイアとペルナンブーコの州境にあるヴァーレ・ド・リオ・サン・フランシスコ。フルーツの輸出産業が盛んで昨年、九千万ドルの貿易収支を確保した。他国のフルーツ産業地域と比べればまだ低いが、過去五年間に生産規模が五倍に拡大している。ブラジルから輸出されたブドウやマンゴーの九〇%以上は、同地域の産物だった。
同地域は、米国ハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授の提唱する「クラスター」だと言える。本来「ブドウの房」を意味するこの概念は、特定分野の関連企業、大学などの関連機関などが地域で競争しつつ協力して相乗効果を生み出す状態を指す。
ヴァーレは一九四八年から連邦政府から援助金を受けていたが、九〇年から予算見直しで少しずつカットされていった。だが同地域の企業家たちは、政府に援助金を請求することは一切せず、自らの資金で同地域の産業の発展を試みた。
企業家たちは、政府援助時代のかんがいを利用。北半球の農閑期を調べ、その期間にフルーツを収穫できるよう、同地域の小・零細企業支援サービス機関(Sebrae)やブラジル農牧研究公社(Embrapa)の協力を得た。同地域の産業資本は、九〇%以上が民間資本である。
クラスター理論の支持者であるマンテガ予算管理相は、「地域性を生かすことがこれから先数年間の政府の計画である」と言明。同地域のほかにも、リオ・グランデ・ド・スル州ノーヴォ・ハンブルゴの靴、サンタ・カタリーナ州ジョインヴィーレのソフトウェア、同州コンコルジアの農畜業、サンパウロ州ABC地帯の自動車、同州サンジョゼ・ドス・カンポスの飛行機、ゴイアス州リオ・ヴェルデの穀物・畜産、バイア州サルバドールの観光など、さまざまな産業地域がある。