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コラム 樹海


 ハルペン・ジャックさんは多彩な人だ。日本人としては「春遍雀來」と称し「新漢英字典」を十六年も掛けて編纂した才人でもある。日本語は片仮名・平仮名に加えて漢字という厄介で面倒な文字で綴る。イスラエル生まれの雀來さんは大の日本贔屓で日本語の勉強に汗したが、漢字にはかなりに手を焼き苦労したらしい▲それならもっと解りやすい方法がないものかと思案したのが新漢英字典なのだという。難しい漢字に当惑していた頃に―。ある日本人が地面に「木」という字を書き二つ並べると「林」になり三つは「森」だと説明して呉れたのがヒントになったそうだ。遯生なども「なるほど―」と思うし中学生の国語教師も同じような教え方をしていたのを覚えている。サクラは「二階から見るといい女」と記憶しなさいと言いながら「櫻」を黒板に書き漢字を教える▲確かにムスメは娘で「良い女」だし、こんなやり方で漢字を多く覚えたと記憶している。恐らく、こうした教え方と学び方は古くからあったのに違いないし、教わる側にすれば、これほど覚えやすく便利はなものはない。但し、ムスメの「良い女」にしても理屈付けが、相当にいい加減で―その場凌ぎの感じがしないでもない▲雀來さんは十二ヵ国語を話す才能豊かな人物ながら、漢字をこんな目で見つめ直したのはさすがと評価したい。このやり方は、ブラジル人などに日本語を教える際に大いに役立つ筈だし、日本語教師はもっともっと雀來さん式を見習ってほしい。 (遯)

03/05/20