5月16日(金)
東京・青森 制度を廃止
大分・沖縄 存続を模索
北海道 とりあえず募集
【既報関連】「県費留学生・研修生受け入れ制度」について、外務省が補助金カットを打ち出した問題で、サンパウロ総領事館(赤阪清隆総領事)に対し同省が「来年度以降も補助金を確保したいが、見通しは厳しい」と連絡していることが分かった。また、この問題についての外務省と各都道府県の協議によると「補助金がなくなった時点で事業を廃止せざるを得ない」と回答した自治体が多かったという。すでに今年度からの中止が決定している東京都や青森県とは対照的に、大分県や沖縄県などは継続の意向を表明。各県人会やまとめ役を担うブラジル日本都道府県人会連合会の対応にも注目が集まりそうだ。
戦後の移住政策が各都道府県単位で募集をした経緯もあり、各自治体と県人会の結びつきがベースとなった県費留学生受け入れ制度。県連によると、ブラジルでは一九五九年の岡山県を皮切りに始まり、七六年までに全都道府県に広がった。これまでに約五千人が留学生や研修生として日本で学んだという。
九八年五月に策定された地方分権推進計画は、「地方公共団体に対する補助金の削除」を視野に入れたもので、「創設後一定期間を経過した制度は廃止または見直し」としている。
また国の補助金の削減や廃止、合理化などを唱える中央省庁等改革基本法の存在もあることから受け入れ制度も対象とされた。
受け入れ制度の補助金は、九九年度の予算編成の段階で最長でも二〇〇三年度までに設定されていたこともあり、外務省では設定が終わる同年以降も補助金を得たい方針だが現状は厳しいという。
補助金がなくなる来年度を待たずして、青森県は制度の廃止を決定。青森県人会(清藤イナ会長)には今年一月、FAXを通じて今年度からの廃止が通達された。昨年度の定員が一人だった留学生について、カンポ・グランデ在住の男性弁護士が応募を予定していたが、制度の廃止により断念したという。清藤会長は「彼の兄妹二人もこの制度で留学した。こういう熱意を持つ人の夢が叶えられずに残念」と嘆く。
さらに東京都友会(岩崎秀雄会長)にも先月、FAXで補助金打ち切りに伴う
来年度からの中止が告げられた。東京都は今年度留学生、研修生ともに一人ずつ受け入れている。
一方、大分県は同県人会に対し「存続したい」との意向をEメールで連絡。ブラジルからの留学生を受け入れる方法や制度を模索しているという。
外務省によると、沖縄県も制度を継続する方針だ。
今年度留学生一人、研修生五人を送り出す北海道協会(谷口出穂会長)は、現段階で道庁からの連絡がないため、来年度についても同規模で募集。七月中に選考し、合格者を決める。仮に研修生の枠が削られた場合、合格者の上位から選抜する予定だ。
県連は各県人会に、母県の対応や過去の実績について調査するよう依頼。県人会や日系社会全体の問題として、全国知事会や日伯議員連盟に存続の理解を呼び掛ける方針だ。