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市警が麻薬業者の息子誘拐=父親に25万ドル要求=連警の電話盗聴で犯人逮捕

5月15日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】サンパウロ州で四月八日午後、コカイン五十キロを所持していた麻薬密売人と思われる二人組が逮捕された。うち一人は、〃大手〃麻薬卸売業者の息子だった―。ここまではよくある話だが、ここから先が問題。逮捕した市警警官たちが二人組を誘拐し、身代金を要求したと同州検察局が告発したのだ。警官たちは十三日、逮捕された。
 検察局のエドゥアルド・A・シウヴァ検事(三六)が七日、サンパウロ州市警麻薬捜査課(Denarc)のアルナウド・バルボーザ・F刑事とリカルド・コチ刑事(通称ジャポネス)を誘拐と背任行為で告発した。二人は現在市警監察局に拘束されている。
 検察局によると、二人の誘拐計画は偶然にも、連邦警察の捜査中に明らかになった。
 連警は、国際的に麻薬や銃器を販売し、麻薬密売人ベイラ=マールにも麻薬を提供していた有力なブラジル人卸売業者であるエリネウ・D・ソリーゴ容疑者ことピンゴの捜査をしていた。刑事らが、逮捕したピンゴの息子のジョナサン・W・ソリーゴ容疑者と友人ジェッフェルソン・S・ソウザ容疑者を誘拐した際、二人の携帯電話を使ってピンゴとコンタクトを取ったため、盗聴していた連警が会話の一部を録音した。
 二人組は四月八日、ブラス・レーメ通りの軽食店で刑事二人に逮捕された。警察の情報屋(ガンソ)の二人も誘拐事件に参加したと検察局は指摘している。ガンソの一人ジョゼ・E・パッソス容疑者は逮捕され、もう一人のジェルヴァウド・F・ヌーネス容疑者は逃走中。
 連警が録音した会話によれば、刑事らは事件当日、パラグアイに住んでいるピンゴに息子の身代金として二十五万ドルを要求していた。同日午後八時ごろ、交渉の末、十五万ドル(四十三万五千レアル)まで下げ、翌日正午に金を受けとる約束をした。四人はホテルに泊まり、翌朝ピンゴの弁護士が身代金を渡した。人質となった容疑者二人は、コカイン五十キロとともに解放された。
 告発された刑事二人は犯行を否定しているが、供述内容が一致していないという。被害者の二人は「誘拐された」と証言しているが、麻薬を所持していたことは認めていない。刑事らは麻薬押収の記録を残さなかった。