5月14日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】検察庁は十二日、サンパウロ市バス運転手・車両労働組合の組合長を含む幹部三人の銀行口座開示を申請した。三人は各自の所得にそぐわない金額を動かしていたため、検察庁の捜査対象になった。また同組合の元理事も同日、「同組合がバス会社経営者からわいろを受けてストライキを実行させていた」とテレビ局で告発した。
開示を要求されているのは、エジヴァウド・サンチアーゴ組合長、エジヴァウド・G・オリヴェイラ理事(通称デンチーニョ、四八)、フランシスコ・X・シウヴァ・F理事(通称シキーニョ、二七)の三人。
フォーリャ紙は五日、デンチーニョがサンパウロ州イトゥー市に建てた高級住宅を三十八万レアル(本人の評価)で売りに出し、シキーニョも短期間に一軒家を購入したほか高級車のアウディ(九七年型)とセルタを所有していると掲載した。二人は元運転手で、組合の援助金を入れても月給は約二千レアル程度。この告発記事で本格的な捜査が始まったと思われる。
サンパウロ州検察局は、この三人とほかの幹部役員六人が申告した所得や、通称小切手税と呼ばれる金融取引暫定納付金(CPMF)の総額から想定がつく金融取引の動きなどの比較を申請していた。このデータによって容疑がさらに強まった。
これらのデータは近日検察庁に送られる。理事九人全員が労働機関に対する犯罪、組織犯罪などの容疑で捜査される。
同日、TVグローボのインタビューに応じた同組合のマルコス・A・C・シウヴァ元理事は、「バス会社経営者は、バス労組にストを実行させるため、八十万から百万レアルを支払っている」と告発した。この大金は、労組理事会の間で山分けにされていたという。
シウヴァ元理事は、マルタ・スプリシー市政で九回も行われたバスストの目的を、(1)サンパウロ市のイメージダウン、(2)カルロス・ザラッチーニ元同市交通局長の更迭、(3)バス料金の値上げ、だとしている。同元理事は、サンチアーゴ組合長が「ザラッチーニ元局長はバス企業家らを邪魔している」と述べていたと言明。実際同局長は更迭されている。
一方サンチアーゴ組合長は十二日、「一九四一年以来、初めて労組から追放された理事がシウヴァ元理事だった。彼の告発は信用性がない」と返答。自分の銀行口座の開示を許可したとし、自分の給料ではムリな金額は動かしていないと断言した。「どういう根拠で言っているのか、証拠がほしい。我々がストをやっているのは、バス会社が従業員の給料を支払わないからだ」と憤っている。