5月14日(水)
【エポカ誌】ホワイトハウスで南米担当の元大統領補佐官として活躍したチリ人のアルツロ・ベネンズエラ氏は、エポカ誌の記者に「米政府との上手な付き合い方」を、次のように説明した。これはルーラ政権が伯米間に外交の懸け橋をかけようとする反面、ラテン・アメリカの金融危機に対する米政府の対応は悲劇的だと批判し米国の反発を招いたことが、背景にある。
[ブッシュ超保守政権とルーラ左翼政権との折り合い]伯米間の思想的相違は、米中間の相違と同じ。米中は通商関係で急接近している。伯米間の接近のカギは両国が相互に繁栄できる産業分野を探すこと。ブラジルの外交は、大人の外交で対等にわたりあえる実力がある。従来の外交手法ではなく、一工夫が必要。
[ルーラ大統領は前大統領ほど親米家ではないが、どう対応すべきか]前大統領はブレイア英首相以外では、キャンプ・デイビットに招かれた唯一人の外国要人であった。ルーラ大統領に効能のある薬を投与することは難しい。知能程度は同じ位で二人は結果重視主義であることでも一致している。イラク戦争によってブラジルの戦略的重要性が増している現在、ブラジルは波に乗るべきだ。
[イラク戦争で批判的立場をとった影響は]ブラジルがイラク戦争を正当行為として認めなかったことは、ホワイトハウスと国防省にとって衝撃だった。ブラジルは大国であり、貿易相手国としての将来性から安保理の投票権がなくても、米国から重要視されている。
[ルーラ大統領の外交手腕は]一連の改革を実現し国内の足場を固めたら、国際外交の可能性が広がる。中米の小国が米国の恩恵にあずかるように、南米はブラジルの恩恵を受けてまとまるようになる。
[米州自由貿易地域(FTAA)構想の展望は]ほとんどの国は、米国市場参入で利益を得る。ブラジルは、ブラジル特産品に対する関税外障壁が排除されるかどうかにかかっているので先行き不透明だ。
[米政府は、なぜ農産物補助金制度にこだわるのか]農産物の米国ロビストは、農産加工、機械工業、鉄鋼工業などのロビストたちと合流して国会の中に大きな影響力を持っている。このロビーを倒すのは、百年河清をまつようなもの。中国は米系企業を中国内に招じて、米国製品を売らせた。その米系企業が現在では、中国製品を仕入れて輸出している。なぜブラジルの企業や政府には、中国と同じことができないのか。