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リオ州保安局 12日間に容疑者100人射殺=強硬手段に訴える=衰えない犯罪組織の抵抗

5月13日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日、十一日、十二日】過激化しているリオデジャネイロ州の犯罪に対し、同州保安局は強硬対策を実行している。アントニー・ガロチーニョ同局長官は十日、ラジオ・カリオッカの番組で、同氏が長官職に就いてからわずか十二日間の間に百人以上の容疑者が警察の作戦実施中に殺害されたと発表した。「軍警官十三人も、犯罪者と関係がある疑いで逮捕された。麻薬密売人ベイラ=マールの麻薬運送車を護衛していた警官もだ」と同長官は言明した。
 他のラジオ局などのマスコミからは、ガロチーニョ長官のラジオでの発言に対し、「容疑者殺害が犯罪解決につながるとは思えない。殺人数を自慢しているかのようだ」との批判の声も上がっている。
 九日には、リオ市北部モーロ(貧民街のある丘)・ダ・ミネイラで実施された作戦で、麻薬密売人十人が死亡、うち八人は即死している。同市北部エスタッシオ・デ・サー大学内で五日、学生ルシアーナ・G・ノヴァエスさん(一九)を狙撃した犯人を逮捕するのが警察の目的だった。
 ガロチーニョ長官は十日、ルシアーナさんに命中した銃弾が、校内にいた何者かの拳銃から出た可能性が強いとし、「ほぼ九五%の確率だ」と明言した。校内に設置されている防犯カメラの画像に、事件現場に小銃らしき物体を持つ男が映っていた。事件当初、銃弾は同校付近のモーロから発砲されたとみられていた。証言などの食い違いは、十三日に行われる実況見分で明らかになるという。
 一方リオ州の犯罪組織は、州政府側の厳しい措置にもかかわらず、市民を脅かしている。九日午前零時には、リオ市北部ブラジル通りで軍警(二八)が狙撃された。北部チジュカ区では、軍警(三一)が強盗に撃たれて負傷。大リオ圏イタボライー市のスーパーで八日、非番の軍警(二八)が射殺された。
 また、犯罪組織同士の抗争で死亡したとされる麻薬密売人アンドレジーニョの服喪として十日、犯罪組織は同市北部ヴィガーリオ・ジェラル区の商店街に閉店命令を出し、州政府に〃組織の権力〃の強さを見せつけた。
 さらに同日午前、北部アレモン複合貧民街の麻薬密売人らが、警官十人を取り囲んで発砲する事件が発生。警官二人が射殺された。同じく北部マドゥレイラ区では、運転中の軍警官が行く手を遮断され、逃げ出そうとしたため殺された事件も。
 ガロチーニョ長官はこれらの警官殉職事件を重視し同日、「十カ所の軍警大隊指揮官を更迭する」と声明している。