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仁尾さんが入選=フジ写真展=東北伯を写す

5月8日(木)

 レンズを通してブラジルの多様性と向き合う仁尾帯刀さんが、きょう八日から始まる「Mostra de portfolios」(主催=フジフィルム)に出品している。今年で八回目、若手作家の登竜門となっている写真展だ。
 仁尾さんの作品は、三枚とも陰影の深いモノクローム。ジュアゼイロ・ド・ノルテ(セアラー州)、モンテ・サント(バイーア州)という霊験豊かな土地の乾いた風が、プリント越しにもこちらを煽ってくる。
 「教会に興味がある」。そのまなざしはインテリアの細部にも向けられる。複製の聖人画や、ボンフィンといったEx―voto(奉納物)の数々を絵画的なアングルで切り取った。
 何度シャッターを切っても「写真は奥深い。まだまだな、という思い」。対象に密着すればするほど、次の視線が生まれてくる。
 ノルデステ。一般には不幸で貧しいとする見方が根強いが、仁尾さんは「寝たり、食べたり、遊んだり。移動の中で触れ合った人々に限っては、そんな普遍的な幸福までは失われていなかった」と強調する。
 二年前にはサンパウロ市文化センターで、『Sertao Feliz』(干ばつ地帯の幸せ)と題したフォト・シリーズを発表。今年七月にはポルト・アレグレ市文化センターで一カ月に及ぶ個展が予定される。
 七一年生まれ。九六年にブラジル日本交流協会生として来伯。その後は、JICA青年ボランティアで三年間滞在し、〇一年からはSENACで写真を学ぶ。
 キュレイターの中川ロゼリさんが選考に当たった「Mostra―」には十五人が参加。なかに日系人二人も含まれている。三十一日まで。サンパウロ市ヴェレアドール・ジョゼ・ジニス通り三四〇〇番、フジフィルム本社ギャラリー。