5月7日(水)
七月に開かれる戦後移住五十周年記念式典とフェスチバル・ド・ジャポンに合わせ式典を実施する四県人会。より多くの来賓を迎えて盛り上げたい両実行委員会の意向とは裏腹に、各県人会は知事の日程調整に追われている。特に懸念されるのがアウキミンサンパウロ州知事の表敬訪問だ。来伯時期が異なることなどから四県の足並みがそろわず、調整役を務めるブラジル日本都道府県人会連合会も、頭を抱える状況だ。
「昨年三十万人を集めたフェスチバルと同日に五十周年記念式典を開催することで、来賓を呼びやすくなる」との中沢宏一戦後移住五十周年記念祭委員長の意向を受け、岩手、宮城、広島、高知の四県人会が七月二十七、二十八日に式典を実施することになった。県連によると、式典が集中する二十五日から二十八日にかけての訪伯団は総数で千人に上り、特に新会館の落成式を兼ねる広島県人会の創立式典には約三百人が来伯する予定だ。
グアルーリョス国際空港からサンパウロ市内に向かう途中の各知事の警備については、治安当局に白バイかパトカーの護衛を依頼することで一致している。ただ、公式行事以外の行動については各県人会が責任を持つため、ある県人会の関係者は「これだけの来賓が集中すると、警備の確保も大変だ」とため息を漏らす。
さらに複雑なのが到着後の、知事のスケジュール確保だ。宮城と高知が二十四日、岩手が二十六日、広島が未定のため、今のところ四知事が一同に会するのは、二十六日午前九時の開拓先没者慰霊碑訪問と同十時からの五十周年記念式典のみとなっている。
またこれまで、記念式典出席で来伯した知事は、サンパウロ州知事らを表敬訪問することが多く、今回も各県知事は県人会を通じて訪問を予定していた。
ところが、アウキミン知事周辺の関係者から、四県が個別に訪問しても時間を割けない、と県連に連絡が入ったため中沢会長は対策を検討。
当初は四県知事が同時に訪問することを提案したが、各県人会の意向もあって実現しなかった。ある県人会幹部は「知事によっても知名度にばらつきがある。県サイドも好ましく思わなかった」と実情を明かす。
次善の策として、県連では赤阪清隆総領事主催の昼食会を実施してもらい、その場に四知事とアウキミン州知事を招くという案を総領事館に提案。二十五日に総領事公邸で予定される昼食会には宮城、高知、広島の三知事が出席予定だ。ただ、アウキミン知事が訪れるかどうかは未定で、ある県人会長は「アウキミンさんは日本の知事と会うメリットを感じていない。実現は厳しいのでは」とみる。
式典まで三カ月を切ったが、今後も各県サイドから日程の変更が告げられることも予想され、県人会関係者の苦労は続きそうだ。