5月6日(火)
カトリックの国・ブラジルで東洋系新興宗教信者が増えつつあることが、ブラジル地理統計院(IBGE)の二〇〇〇年度国勢調査で分かった。世界救世教の約十一万人をはじめ、六つの教団がブラジル国内で約十五万人の信者を得ており、その大半がサンパウロ、リオなどブラジル東南部に集中している。
信者の数は、世界救世教の十万九千三百十一人を先頭に、生長の家が二万七千七百八十四人。以下PL教団五千四百六十五人、天理教三千七百八十六人、真光三千五十四人、ハレ・クリシュナ(インド系)千六百七十九人と続く。九〇年の調査では世界救世教(約八万人)、生長の家の二教団のみだった。
男女別の内訳は、女性百人に対して男性が六十四人。信者増加への女性の影響力を示している。これら約十五万人の信者のうち七割が、サンパウロ州以南に集中している。これらの地域に日系人口が集中していることが要因として考えられる。
台頭する新興宗教に対し、伝統的な仏教信者は九一年に二十三万六千人だったが、二十一万四千人に減少した。
十年前に人口の八三%を占めていたカトリック教徒は、今回の調査では七三%(一億二千四百万人)に減少。一方、九〇年代に急激に信者を増やしたエバンジェリカは、全体の九・一%から一五・四%に激増している。
二月二十四日付エスタード紙によれば、IBGE社会人口部門のニウザ・オリベイラ主任は「カトリック教徒がいまだ中心だが、今後はエバンジェリカや東洋系教団への信者移動が起こる可能性もある」との見方を示した。
この調査はあくまで〃自己申告〃であり、複数の信仰を持つ信者が相当数いる現状を考えれば、必ずしも正確な統計ではない点も同紙は指摘している。
また、サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼスで発行されるジアリオ・デ・モジ紙は、今回の国勢調査に関して、モジ市の宗教分布状況を四月二十七日付で報じた。
同市の人口は三十三万二百四十一人。最も多いのがカトリックで約二十万二千人。エバンジェリカが約六万七千人でそれに続く。三番目がエスピリタで八千六百五十九人。
同地域で東洋系の宗教を信仰する人は、人口の一・六%にあたる五千三百八十人だった。ブラジルの全人口に占める日系人口比は〇・七%程度。モジの東洋系宗教信者の一・六%という割合は、日系密集地ならではの高い比率を示している。