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ペトロブラスと話し合いへ=救済会、土地問題で=接収後、補償がない=援協も所有当事者

5月1日(木)

 石油の輸送管を敷設するためペトロブラスは八三年、サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)と救済会(左近寿一会長)の共同名義となっている土地(四千平方メートル、グアルーリョス市)を接収したが、その後、何の補償もしていないことが二十九日までに分かった。この土地は、福祉に役立ててほしいと、藤原オクラさん(故人)より八二年に寄贈を受けた。三者の法的関係が接収後、あいまいになっており、両団体は所有権の所在などについてはっきりさせたい考え。
 藤原さんは救済会の創立者、渡辺マルガリーダさん(故人、初代会長)の友人。
 社会復帰センター、やすらぎホーム入り口下方部に所有していた土地八千平方メートル(二区画、百七十万クルゼイロス)を八二年一月に、援協と救済会に無償で譲渡した。
 ペトロブラスはこの時点で既に、将来、輸送管を敷くと藤原さんに通知。両団体も認識していた。
 双方は輸送管を境に土地を二分すると、口約束を交わしただけに留まった。
 グアルーリョス市の登記所に九二年に照合したところ、八三年九月二十六日に、ペトロブラスが四千平方メートルを接収したと、記録されていた。
 救済会事務局によると、ペトロブラスと不動産の売買契約を結んでいないという。補償についての連絡も入っていない。 「相手側だけで、独自に手続きが出来るのだろうか」と、首をかしげる。
 土地の不法侵入に悩む救済会は利用しない不動産を売却する方向で話を進めている。その前提として、所有地の法的根拠を確実なものにしたい考え。調査を進める上で、改めて問題化された。
 補償を含め法的関係の確認を求めて、ペトロブラスに掛け合うつもりで、援協に相談を持ちかけた。
 援協事務局は当時と人事が変わっており、共同名義の不動産が存在しているとは思いもよらなかった。顧問弁護士が今後、内容を吟味の上、理事会で討議する。
 救済会事務局は、「藤原さんの善意を無駄にしたくないので、誠意を持って対処していきたい」と、話している。