閣僚、議員に改革の〃踏み絵〃=反対派に解職圧力=違憲提訴も封じ込めへ=ルーラ大統領の試金石
4月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】年金改革へ向けた国会対策があわただしい中、ジルセウ官房長官は二十八日、党に反旗を翻す与党議員を追放するとともに、改革方針に沿わない閣僚も交代するとの声明を出した。大統領命令でPTやPDT、PCdoB、PSB所属の閣僚に改革支持の確認を取り、反抗する場合は代わりの閣僚をPMDBから招く予定であると、明らかにした。
ルーラ大統領は官房長官に、ケイロス・スポーツ相(PCdoB)とテイシェイラ通信相(PDT)PT所属の閣僚を訪ね改革支持の確認を取り付けるよう命令したと述べた。造反閣僚に対しては更迭を許可したと、官房長官は与党議員会議で発表した。
官房長官は、さらに与党議員の改革賛成票は推奨ではなく半強制的であるという。また定年退職者からの社会保障負担金徴収に反対していたペレグリノ下議(PT)とピメンテル下議(PT)は、自説を撤回して党案に合流した。
与党議員会議では、年金改革を国際通貨基金(IMF)の差し金と主張するファリアス下議とルシアナ下議を、党執行部が全ての党役職から解いた。
ブリゾーラ氏と反党活動に向け会談を行ったとされるエロイザ・エレーナ上議は、マスコミが報道するようなルーラ政権に対する提訴の意志がないことを訴え、離党勧告は保留となった。
定年退職者の負担金徴収に対し反対するテイシェイラ通信相の場合は、微妙だ。入閣の際、ブリゾーラ党首の意向を差し置いて大統領自ら通信相に招聘した経緯がある。大統領とは個人的にも友人関係にある。国家通信庁(ANATEL)のやり過ぎを封じた同相の手腕は、一目置かれている。
同通信相は定年退職者の負担金徴収で前政権を相手に、PTと共に最高裁で争ったことがある。今回は事情が一変した。PTは政府であり、さらに全国州知事も負担金徴収を支持している背景がある。
先の最高裁提訴では政府側へ付いたPDT議員多数を、同通信相がブリゾーラ氏と共同路線を張って党から追放し、PDTを弱小党にした。官房長官は政権の真骨頂が試されるいま、大統領に代わって首きり役人も甘受するとし、同相も例外でないことを示唆した。
いっぽう、ジェノイノPT党首は政府の年金改革キャンペーンは違法だとして提訴を準備している与党議員を党は容認できないと非難した。もし提訴に踏み切るなら党を分裂させるものとして、原告を罰するという。提訴は党に対する反逆行為であるばかりでなく、PT設立以来批判的であったPDTを巻き込んだ敵対行為と位置付けをした。
現在のPT議員の意向は、七〇%が年金改革に一部条件付きで賛成、二〇%が大統領への友情として賛成と合計九〇%の合意にこぎつけたようだ。議員が違憲提訴へ走らなくても、まだ大学教授労組が提訴準備を行っている。