「二十年後の日系社会」公開討論会の取材時、これだけの有識者が雁首そろえれば、従来の議論とはまったく別次元の新しい発想が理論化されるのではと期待をしていたので、議論の大筋に違和感がないこと自体に、意外な感じがした。
ただ決定的に違うのは、混血化の進展を当然の帰結ととらえ、一世の議論に常にあるコロニア衰退化への危機感が薄い点だ。彼らは日系人である以前にブラジル人であることを痛感。それなら、日本人顔ばかりが集まってポ語で議論すること自体が本来はナンセンスであろうが、それには違和感がないことに多少なりとも〃二世意識〃を感じた。
あの会議の意義は、二世エリート層が日系社会について議論することで、自らの日系意識を高めたことではないか。結論を批評するより、二世コミュニティ形成の一段階として興味深く見守りたい。(深)
03/04/30