4月29日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ルーラ大統領の特別要請とルイス・グシケン広報局長官の陣頭指揮で、高付加価値を持つ製品とサービスを輸出する戦略的な産業モデルを立案することを二十六日、関係省庁スタッフが明らかにした。構想は、ブラジルが世界に誇る技術力と生産力を背景にした特産品を組織的に大量輸出しようというもの。関係省庁を中心に有識者、業界の有力者などを交え、目標達成のための金融政策や輸出インフラ、輸出政策を推進する。
グシケン長官を総指揮官とする新プロジェクト・チームは、クリントン前政権下に結成されたゴア前副大統領をトップとする対日経済戦略班をモデルとしている。当時、米経済は国際経済を席巻する日本勢に圧倒されていた。日本封じ込めのために編成された米経済スタッフが前政権時の米経済を演出したとみて、政府は評価したもの。
新たに官房室をはじめ、財務省、企画省、総務省、都市開発省なども参加して金融と産業振興、ハイテク製品、サービスなどの情報収集に努める。科学技術省とシンク・タンクとのチャンネル的役割を果たす外郭団体なども招聘される。
グシケン長官は、まず応用経済調査院(IPEA)のアルビックス総裁を特別主任に、業界の有力者スタウビ・グラジエンテ社長を根回し役に抜擢した。原案作成のため輸出金融や海外市場戦略、輸出インフラに関する作業は、すでに進行中。同長官によれば、スタッフは一騎当千のつわもので、残すは要所の確認のみで短期間に原案提出という。
注目される一例として、デジタル・テレビのブラジル規格の技術推進を行うようテイシェイラ通信相が推奨した。次世代テレビとして国を挙げ国際市場へ、同テレビの国産化と輸出ルート開拓を行う必要があると通信相は奨励した。
ブラジルの特産品は、さらに鉄鋼製品や大豆加工品、航空機、大豆粕、車両、電気製品、石油製品、靴、自動車用エンジンなどがある。遺伝子組み換え農産物や観光客誘致も検討対象だ。
大統領の注文は、付加価値が高く大口輸出ができ雇用創出につながり、マクロ経済に即効力があるものを計画している。一次産品ではなく、なるべく加工品が大統領の注文。
昨年の貿易収支は百三十一億ドル黒字で好成績であったが、輸出総額の二八%に相当する百七十億ドルは大豆や鉄鋼石の一次産品であった。雇用創出につながる二次加工製品は、全体の五四・六七%であったが、前年同期比で〇・二九%伸びたに過ぎない。
経済スタッフは、ハイテク製品や新素材で貿易収支が大幅赤字であることを認識している。ハイテク技術開発は、高価でハイ・リスクだが挑戦する国内企業への融資で国際開発銀行(IBRD)はバック・アップするとした。