4月26日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙】経済企画省は二十四日、年金改革案の国会上程を四月末に控え、連邦公務員の既得権喪失を恐れる年金受給希望者が倍増したことを明らかにした。今年二月の定年退職希望は行政府だけで千三十六人、昨年同期は五百八十一人。三月の希望者はさらに増えるとみられ、現役公務員の急減に対し定年公務員の急増で、社会保障負担金歳入の急減が問題となっている。
年金改革案の可決後に定年退職する公務員への既得権喪失が取り沙汰される中、すでに定年に達して恩典に浴していた公務員らが一斉に年金受給申請の行列へ押し寄せている。申請者数は全額年金で昨年同月比一二一%増、比率年金で一一〇%増となっている。
特に保健省の医師と教育省の教授などの階級が、既得権保持に奔走している。この心配は前政権時代にもあったが、今回は公務員の採用試験も新規採用も中止していることで、既得権が切実な問題として浮かび上がっている。
社会保障院は一九九二年当時、定年退職した公務員が現役の半分であった。現在は行政府だけで現役四十五万人に対し、定年組が三十八万人もいる。現役一・一九人の社会保障負担金で定年者一人の年金を賄っている計算になる。
企画省の統計では現在、現役組の二五%が年金申請をできる条件が揃っているという。もし全員十万人以上が定年退職を申請したら、行政府は資金繰りができなくなり行政機能が停止するとみられている。
国立大学では、一〇%の教授が定年を迎えている。七千人の教授が不足しているが、政府は新規補充を行わないので教授が引退できないでいる。
諸般の事情を含め大統領府は二十四日、年金改革は国家存亡の事項として扱い、既得権は納得の行く範囲で考慮すると決定した。社会保障院の肥大化した累積赤字が国際間で指摘されていることで、既得権の成り行きは全く不透明であることに変わりはない。
三十日の年金改革案の国会上程に先立ち、大統領府は国家の興亡をこの一戦に賭ける意気込みで万全の態勢準備に大わらわだ。PT党内の造反封じ込めと連立与党の連合体制構築で、党幹部と社会保障制度の専門家は秒単位の日程表を組み徹夜の強行軍。
カウント・ダウンが始まり、戦略として先ずは法規上の問題、そして最終的に政治決着ということらしい。「定年退職者からの負担金徴収」や「定年年齢の延長」などの課題で説得の難航が予想される。敵はPTと連立与党内にいることが、党幹部を苛立たせている。
ジルセウ官房長官は二十二日、連立党幹部会議で堪忍の緒を切らし、スポーツ相とレベロ共産党幹部の上にかんしゃく玉を破裂させたらしい。会議閉会後、全員黙して記者会見に応じる人もなかった。