4月23日(水)
【エポカ誌】サンパウロ大学(USP)政治学科のマギノリ教授が、「イラク戦争とFTAA(米州自由貿易圏)」と題して次のような論説を発表した。
米政府によるイラク武力介入は、国連の共同安全保障システムや北大西洋条約機構との同盟関係などで、大きな影響を及ぼすと思われる。一枚岩と思われたEUの中にも亀裂を生じさせ、各国は対外政策の根本的見直しを迫られている。
ブラジルにとっては、米州自由貿易圏構想に爆撃を加えられた感がある。FTAAは父親の大ブッシュ以来十年にわたり、参加の決意を迫られていた。サダム・フセイン流にいうなら、父親が大ブッシュで、息子は小ブッシュとなる。
ブラジルの産業とメルコスル統合計画に対しFTAAは、つねに恫喝外交で臨んできた。クリントン前大統領も結論を急がせたが、イタマラチが時間を稼ぎメルコスルの内部充実を図り、ホワイトハウスの圧力に抵抗を試みてきた。
そこで起きた亜国経済危機は米政府に隙を与え、ブラジルの戦略を台なしにした。メルコスルは、軟弱な足元を見られた。米政府はここ二カ月、自国の補助金制度を棚に上げ、伯亜両国の引き裂き戦術に出、ブラジルの孤立化を図った。メネム元亜大統領は、米政府へ色目を使った。
小ブッシュがその頃、ルーラ大統領とホワイトハウスで会談、ブラジルがFTAAで最後まで抵抗するなら伯米友好関係にも終止符を打つことを示唆した。大統領選では、ルーラ候補はFTAAを統合ではなく併合だと位置付けした。
ルーラ大統領が選挙では何といおうと、ルーラ・小ブッシュ会談は、ブラジルの身売りだ。ブラジル司牧協会(CNBB)は、一千万人を集め反FTAAキャンペーンを張った。反米キャンペーンが何を意味するかは、劣化ウラン弾の犠牲となったイラク人婦女子のむくろが如実に物語る。
米政府は、現代のローマ帝国なのだ。ルーラ政権がイラク戦争の平和解決を叫んでもFTAAの対等交渉を要求しても、小ブッシュはルーラ大統領の喉元に米政府の要求をねじ込んでくる。亜国では近く総選挙が行われる。メネム新大統領が誕生するなら、メルコスルは番狂わせを覚悟しなければならない。