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元静岡選抜の協成君=カズの従兄弟がサントス入団

4月18日(金)

 「カズのいとこ」ではなく〃ヤス〃と呼ばれるようになりたい――。
 納谷協成(やすなり)君(一五)が名門クラブ、サントスに入団するため、来伯した。
 協成君が十六日から所属するジュヴェニールは、去年のブラジル選手権でサントスを初優勝に導いたジエゴとロビーニョが同年四月まで在籍していたレベルの高いクラス。
 すでに二回来伯している協成君は「ブラジルと日本の選手との違いは意識しない」と話しながらも、「ブラジル人はサッカーを知ってる。そういうところを見習いたい」とやる気をあらわにする。
 言葉の方は?と聞くと「実はサッカーよりそれの方が心配」とはにかむ姿は、しっかりとした口調の中にも十五歳の顔を覗かせる。
 協成君の父親、納谷義郎さんは、納谷宣雄(カズこと元日本代表選手、三浦知良の父)さんと兄弟。協成君と従兄弟にあたるカズが来伯したのも、協成君と同じ十五歳の時だった。後にサントスとプロ契約を結び、帰国したのは五年後の九〇年。
 協成君は「やはりカズと比較されるプレッシャーを感じる」と話しつつも、「自分で無理と思うまでやりたい」と意気込みは十分だ。
 父親・義郎さんは、静岡市で百七十人のメンバーを擁する城内フットボールクラブの代表で、静岡県サッカー連盟の理事でもある。
 「協成はガッツがあり、いいものを持っている。これからは、足りない部分を肉付けしていってほしい」と話しながら、「ブラジルでプレイするのは大変なこと。サントスで十分揉まれることが大切」と厳しいアドヴァイスも。
 「でも、時々、秘密で見に来るかな」と話す義郎さん。普段のこわもてが一転、父親の表情を見せる。実は協成君、中学の時に〃サッカー王国〃静岡の県選抜に選ばれた実績もあり、サッカー名門高校である清水東からも誘いが来ていたというが、やはり「ブラジルでプレイする魅力には勝てなかった」と打ち明ける。
 ポジションはミッド・フィルダー。「自分の得意なプレイはまだ分からない。ブラジルでそれをみつけたい」と話す協成君にエールを送りたい。ヤスの愛称がブラジルのサッカー場に響き渡るまで。