4月17日(木)
日本で事故にあった息子に治療代を送金する、と総領事館職員を騙る男が金をだまし取る詐欺で、今月に入って実際に金を手渡す被害が発生したことが十六日、分かった。日系人女性が今月九日、サンパウロ総領事館内で男の使いと見られる褐色系男性に二千レアルを手渡した。先月以来、二度目となる実害が発生したことについて、同総領事館の西山巌領事は「総領事館職員が金のやり取りをすることは絶対にない。不審な場合は問い合わせて」と呼び掛けている。
「出稼ぎ中の息子さんが事故にあって動けない」などと家族に電話連絡し、治療費や慰謝料を送金するから金を手渡して欲しい、と持ちかける手口の詐欺で、先月末に初めて、実際に金を手渡す被害が発生。
さらに九日には、日本で二人の息子が出稼ぎ中の六十代の日系人女性宅に「弟さんが交通事故にあった。喉を損傷して声が出せない。至急治療費を送金する必要がある」などと偽りの電話が入った。また男性は、「兄も出張中だから不在だ」などと念入りな嘘まで用意していた。
当初、ドルを要求していた男性は、女性が手持ちにレアルしかないことを告げると、「レアルでもいいから持ってきて欲しい」と持ちかけた。また、受け渡し場所として同総領事館内を指定。リカルドと名乗る褐色の三十代男性に手渡すよう告げたという。
同日午後三時ごろ、男性の代理で総領事館内に現れたリカルドは、当初三千レアルを要求。女性が「二千レアルしかない」と答えたところ、千レアルは後払いでもいいとして、二千レアルを持ち去った。
女性から事情を聞いた総領事館によると、男性はポルトガル語を話すが、日系人に特徴のある話し方をするという。また、被害者に共通する事柄として、詳しい家族構成なども把握している。
前回発生した詐欺は、被害者の自宅が金の受け渡し場所だったが、今回は総領事館内での金を受け取るという大胆な手口。西山領事は「日本にある出稼ぎのコミュニティーなどに通知し、出稼ぎ中の人からブラジル国内の家族に注意してもらう方法も検討している」と話している。
不審な電話を受けた場合は同総領事館(287・0100)へ。