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ゴミ税=すでに訴訟判例も=支払い側混乱=文協ビルは二重?

4月16日(水)

 サンパウロ市が今月からゴミの収集手数料を徴収する問題で、四、五月分の請求書が各家庭に郵送されている。市の評価額に対し、納税額を自己申告、支払うという手続きを踏む。初めてのことだけに、対処の在り方にまごつく一般市民も少なくない。ブラジル日本文化協会ビルは回収業者と契約、会館内で出るゴミを処理している。市により手数料が課税されるなどの理由で契約料が五〇%上がった。手数料の請求書も入居団体に届いており、二重に支払う形になりそうで、文協は両者の関係について早急に調査する考え。
 「市は将来、空気にまで税金をかけるつもりじゃないかしら」。日系人が多く居住する、あるアパート(サンパウロ市リベルダーデ区)の管理人はゴミの収集手数料の徴収にそう反発する。
 手数料は一日に出す量によって十リットルレアルから六十一・三六レアルまでの五段階で変わる。
 このアパートは一人暮らしの学生が多く、「朝、出掛けたら夜まで戻ってこない」。
 燃えるゴミと燃えないゴミを分別、空き缶や空き瓶を再利用に回し、建物全体のゴミの量は一日に十リットルに満たない。
 それなのに、市の評価額は一軒当たり十二・二七レアルになっている。
 「手数料の最低額の基準が一日に十リットルなのは納得でき兼ねる。一軒が一カ月に出す量がだいたい十リットルだ」と、厳しい表情だ。
 実は、手数料の徴収は不公平だとサンパウロ市を相手取って訴訟を起こすつもりだった。
 請求書が個人宛に発送されており、アパートが原告となって裁判に持ち込むのは困難でやむなく断念した。
 文協ビルは、回収業者と月額二百四十レアルで契約。一日に百リットル入りゴミ袋五枚を基本とし、それを越えたら百リットルごとに一・二レアルの超過料金を支払ってきた。
 ゴミの手数料の導入とサービス料の調整などで今月から五割増しの三百六十レアル、超過料金は一・八レアルに上がった。
 管理費に含めて、入居団体が床面積に応じて分担している。
 サンパウロ市が直接ゴミを回収していないため、手数料を支払わないでよいと文協は高をくくっていた。
 六十一・三六レアルの請求書が八枚(二カ月)も届いたので、少々、混乱気味。回収費と手数料がどういう関係になるか、検討してから、手数料を支払う。
 不動産業者のKOSENは、まだ問題はないものの、今後、混乱が発生する恐れもあるとして、動向に気をもんでいる。 
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 税務局第九法廷のギレルメ・デ・ソウザ・ヌッシー判事は十一日、市に対して、ヴィラ・オリンピア区内の商業ビルからの手数料の徴収を差し止める判定を下した。
 フォーリャ・デ・サンパウロ紙が十五日、報じた。
 主な理由は、清掃サービスはIPTU(土地家屋税)に含まれ、二重の課税になるということ。
 同判事は、市民はゴミの量ではなく支払い能力によって納税すべきだとの見解も示し、「ゴミを多く出すものが高額の税を収める」という市の基本方針を批判した。
 これに対して市は、IPTUは公道の清掃を課税対象にしており、回収は含んでいないと、反論している。
 「判定は決定的な性格を持つのものではないが、異議申し立ての手段として、先例になった」と、イヴィー・トルジーロ弁護士は述べた。