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コラム 樹海


 文協(ブラジル日本文化協会)の新会長に識見豊かな上原幸啓さん(日伯文化連盟会長・サンパウロ大学教授)が選ばれた。正式には今週末の評議員会での承認を待つことになる。執行部(正・副会長六人)のシャッパが示すように文協は新しい世代による新しい時代に入った。今昔の感を深くする。時代の流れは早い。文協改革は遅すぎたと言えなくもない▼創立半世紀にして矛盾が矛盾を生み、ようやく視野の広い文協の形が整った。コロニアの衰退に伴い自信喪失、気息奄々状態におかれたこの団体組織もようやく〃蘇生〃可能点に到達した。来週には残る理事三十四人も決まり勢揃いする。新しい理事の活動範囲は広い。ここで各人の持てる力が試される。それほどこの人事には重要性と期待が込められている▼新規蒔き直しの文協で忘れてならないのは、常に核となる会員の強い支えを必要とする点だろう。まずは一世とか二世とかの対立意識を捨て去ること。老いも若きもが「和」をもって参加し、文協の存在価値を高めていくことだ。ブンカ(一方における文協の俗称)と聞いただけで首をすくめ遠退いた若人たちが意気に感じて集まってくる――。そんな開かれた逞しい文協でありたい。当面は地味ながら会員獲得に全力を傾注することになろう▼一陽来復。『文協改革』を目指して〃私心〃を捨て、ここまで仕立てあげた委員長の渡部和夫・高裁元判事をはじめ改革委メンバーの労を多としたい。真にご苦労さま。(田)

03/04/10