4月8日(火)
中島透国際交流基金サンパウロ日本語センター客員教授が今月末、任期を終えて日本に帰国する。同教授は〇〇年七月に着任。南米全体を舞台に、各種日本語教師研修会で講師を務めるなどしてきた。この二年九カ月の業務を踏まえ、ブラジルの日本語教育に対して、展望を聞いた。
日本語学習者は国内に一万七千人いると言われる。一五%が初等、中等教育、五%が高等教育、残り八〇%が私塾などで学ぶ。
最近、アニメ、音楽、料理などのポップ・カルチャーを通じて、日本語の世界に飛び込んでくる層が増えてきた。
例えば、マンガに出てくる「ギャー」、「ワー」と言うような擬音語、擬態語を知りたいーなど。つまり、動機が多様化、希薄化しているということだ。
いきなり、「あいうえお」から授業を始めても、生徒がついていかない。学習者の関心あることをユニークかつ効率的に語れる人材が必要だろう。
新しい層に対して柔軟に対応できるよう、従来のオーソドックスな方法とは別の教授法が求められる。
ブラジル人に外国語を教えるという意味では同じだから、日系コミュニティー以外の教育機関との連携を深めていきたい。ブラジルにおける外国語教育の一つとして、日本語を捉えるためだ。
その中で教師の待遇改善といった課題を共有できる。また、絵カードなど互換性があるものも考えられ、教材作成に役立つ。
日本語教育という「眼鏡」をかけないで、客観的にみたい。
日本語教師の高齢化も懸念材料。十年後に、教師が不足するといった事になりかねない状態で、後継者の育成に取り組むべきだろう。
中島客員教授は、国際交流基金関西国際センターに配属となり、日本語教育専門員として、外交官などを対象にした日本語教育研修に携わる。
帰国出稼ぎの子供の日本語教育問題も引き続き調査する。