4月8日(火)
全国に六十の日系農協が存在することが、昨年八月から実施されたブラジル農業拓殖協同組合中央会(農拓協)の調べで分かった。スールブラジル、コチアという大手日系農協二つの相次ぐ解散から、結束を失った日系農業界の実態を把握する目的で進められた。今後は個人・企業単位で農業に従事する日系人を対象にした調査が引き続き行われる。原林平会長は「ゆくゆくは農拓協を日系農業の情報センターとして機能させたい」と話している。
ブラジル協同組合機構(OCB)には現在、千六百六十組合が正式に登録されている。うち日系が六十を占めていると、今回の調査で明らかになった。組合員数は非日系農業者も含めて九千七百十六人に上る。
近年の農協離れから〃死に体〃状況に追い込まれた組合が多く、「実際に活動しているのは五十くらい」と原会長はみる。
農拓協に加盟するのは二十四農協でコチア、スールブラジルから分離独立した新規農協が占める割合が高い。まだ独り立ち出来ていない所も目立ち、「農拓協が彼らの間の交流を促進し必要な情報を収集したうえで、提供する必要がある」としている。また、今年度中には日系六十農協の七、八割が会員となる見込みも立った。
昨年、農拓協では講習会、視察旅行など会員相互の交流を狙い、十一の事業を実施した。日系農業者の団結と協調体制を固める地盤作りに懸命だ。
コチア、スールブラジルが解散し、日系農協の中央組織として最後に残ったのが農拓協になる。原会長は「七、八年前に日系の農業人口は全体の十%(約十六万人)を切っている。それでも、雑穀では国内総生産の二割、野菜・果物分野での活躍も目覚ましい。いまも日系人の農業的貢献の大きさは変わらない。彼らを支えていくのが我々の役目」と使命感に燃えている。