ホーム | 日系社会ニュース | 記者の目=文協=副会長が握る新生の鍵=日語機関統一への布石か=援協=中沢氏15年 竹中氏17年=保守的伝統が体質

記者の目=文協=副会長が握る新生の鍵=日語機関統一への布石か=援協=中沢氏15年 竹中氏17年=保守的伝統が体質

4月3日(木)

 文協理事会のシャッパが発表された。会長に指名されたのは日伯文化連盟の上原幸啓会長。
 日本にも顔は利くし、サンパウロ大学名誉教授で人望も厚い。もちろん日ポ両語を使いこなす。
 しかし、現在も同大学で講義を行い、ダム建設のプロジェクトチームに入っている同氏にとって会長職は重荷ではないかー、という声も聞く。
 やはり、副会長がこれからの新生文協の鍵を握るのではないかと思われるが、上原氏にその人事を一任されたという改革委も副会長の人選には頭を痛めたことだろう。
 今回注目されるのは会長も含めて、日伯文化連盟の役員がその半数を占めていることだ。
 これは以前から叫ばれていた、日本語を含む日本文化普及機関の統一化を前提に行われた人選と考えてもいいのではないか。
 同委員会の最終報告には新副会長が日系社会各団体、公的機関、文協会員との連絡、管理および財政、日本文化の保存と普及、などの役割を担当する、ということが決定事項として述べられており、どの副会長がどの役割を担い、どう活躍するかー、ということもこれから注目されるだろう。
 

援協は現状維持の路線を選んだ。過去四十四年の歴史を振り返ってみると、故・中沢源一郎氏が十五年、故・竹中正氏が十七年、会長を務めた。歴代会長は五人だけ。
 和井会長が五期目に入ったとしても、何も珍しいことではない。逆に言えば、保守傾向が強いということだ。
 今年九十歳を迎える和井会長が現職を続けなければならないほど後継者に不足しているのかー。役員改選に当たって、そんな疑問が沸いた。
 経済力や顔の広さを考慮すれば、理事四十人のうちで和井氏が抜きん出ているのは確かで、会長に最適任ということになる。だが、いつまでも甘えていられるはずはない。
 組織をぐいぐい引っ張っていけるような人材が出て来てほしいところ。
 援協は、「副会長は五人いるから、和井会長がいつ、辞任しても別に問題はない」と、言う。詭弁に聞こえなくもない。
 先月二十九日、援協総会に出席した。議事はスムーズに進み、予定時間よりも早く済んだ。役付選挙での候補者名簿もすんなりと承認された。いずれも、異議が出なかったからだ。
 将来を考えれば手放しでは喜べない。もっと、侃々諤々と議論されてもよいのでは。