4月1日(火)
H・スターン社は今、サンパウロ市のイグアテミー・ショッピングセンター同支店でハンス・スターン社長(八〇)の宝石コレクションを公開している。これを記念して三月二十九日午後六時から九時半まで、ブラジル日本商工会議所の会員を対象にカクテルパーティーを開いた。
ドイツ人のスターン社長は、現在リオデジャネイロに住んでいる。毎晩、五十年かけて自分が収集した宝石、貴石の入った宝石箱を開けて眺める毎日だ。宝石のケースは年季の入ったもので、社長が長年愛用してきたものだ。今回、コレクション公開に当たり新しいケースに入れて陳列しようという社員の提言を退け、あえて歴史を感じさせる社長思い入れのケースのまま顧客の前に展示することになった。黒革のケースに、厳格な〃ドイツ魂〃がにじみ出る。
将来、「幻のトルマリン」と呼ばれるようになるとされるパライーバ・トルマリンの緑がケースの中で精彩を放つ。色とりどりのキャッツアイが、見る人の目を逆にじっと見詰め返してくる。もちろん、値段はない。
ハンス・スターン・コレクションの横にマスターストーンが展示されている。色の濃度によって同社独自の値段を設定するためだ。例えばアクアマリンは三十五種に分けられ、色の濃いほど価値は上がる。緑のトルマリンはある基準の色が一番高価で、濃緑色がよいとは限らない。H・スターン社にしかない「ゴルコンダ」と呼ばれるトルマリンもある。インドの鉱山の名前が冠せられたこのトルマリンは一種独特の濃い緑色をしている。一人の収集家によって買い占められたものを同社が全て購入した。H・スターン社は世界に百八十店の支店があり、ブラジル国内に九十店開けている。電話=3263・0650。