3月29日(土)
ブラジル日本文化協会改革準備委員会(渡部和夫委員長)は二十二日の文協総会で『最終報告書』を配布、評議委員会と新執行部に対し今後の活動に関し二十項目の勧告を行った。「文協は日系社会を代表する団体であるべき」という日系社会の共通認識が基礎となっている。同委員会が幅広く意見聴取し確認した結論だ。
委員会は日系社会の調査により、次のことを確認した。「文協は日系社会を代表する団体だ」「若い世代は文協、日本文化に深い関心を抱いている」「文協は透明性に欠ける」「文協は会員の意見を傾聴しない」「文協はほかの日系団体の活動を理解し支援していない」など。
報告書は文協を改革し存続させる必要があることの理由として、「文協に有形、無形の財産が蓄積されている」ことを挙げている。一世移民が戦後の混乱の中で一九五五年に前進のサンパウロ文協を創設し、半世紀にわたって活動してきた歴史がある。この可視、不可視の史的財産を雲散霧消させることなく、日系人が継承、発展させていきたいというものだ。
文協の現状は、こうした日系社会の総意、潜在的要望から掛け離れたものとなっている。「文協離れ」がその端的な証拠だ。文協離れを食い止めるには、その存在理由を明確に定義づけ、会員獲得のための戦略を策定することが必要と強調している。
報告書は、「日系社会はブラジル社会の一部」と再定義し、「日系社会は(日本人の血が流れていなくとも)日本文化を共有、享受する全ての人々の集団」と再解釈している。
文協の役割は、「日系社会を代表すること」と「日本文化を伝承し普及すること」の二点、と結論している。
委員会は文協の活動対象を、文協「会員」という枠組みを越え、再解釈された「日本文化を共有、享受する日系社会」にまで広げた。
二十項目の勧告のあと、「委員会は、長期にわたって根気よく熱心に改革に取り組む」と、真摯(しんし)に決意を述べている。