昨日二十八日。鹿児島県の種子島宇宙センターからH2U5号機ロケットが轟音を残しながら晴天の上空へと飛び立って行った。日本初の情報収集衛星である。もっと解りやすくは偵察衛星と呼んだ方がいい。衛星の高度は四〇〇キロから六〇〇キロで秒速七キロで飛行する。一日に一回は地球を回り世界の何処でも観測が可能という優れものである▼H2Uには地球を光でとらえる光学衛星一基と電波を使い夜間に場所を見るレーダー衛星一基が搭載され地上にある一メートルの物体をも観測し識別できる性能を持つそうだから技術的レベルは高い。こうした偵察衛星を打ち上げる最大の目的は、近ごろテポドンや核兵器の開発へと動きだしそうな北朝鮮の監視にあるのは言うまでもない。金正日政権の瀬戸際政策への警戒を強めると理解していい▼実際の話─北朝鮮は異常に過ぎる。日本海に向けて地対艦ミサイルを発射したり、米の偵察機に戦闘機が接近し一触即発の状況になったりと常軌を逸している。日本と北朝鮮の間には拉致問題もあるし不審船が領海に侵入するという不穏な行動が目立つ。しかも、隣の国だし日本としても放ってはおけない▼この衛星打ち上げに北朝鮮は早速に不快感を示しているらしいのだが、それよりも不穏な動きを止めることが先決だろう。隣の家が原爆を持とうと動きを活発にしているのに何にもしない手はない。国の安全を守るための「宇宙の目」はそんな役目を担ってテポドンの発射基地とされるムスダンリ(舞水端里)を見張り続ける。(遯)
03/03/29