セントラル老人ホームでは入居者自身が身の回りの仕事をしながら、共同生活を送っている。規則は特になく酒も煙草も自由。
九十三歳の女性は、別に問題はありませんと、紫煙をくゆらす。酒好きの男性はピンガを買い込んではちょびちょびやる。たまに、調子に乗って飲みすぎ乱れても、周囲の人が介抱をする。
映画監督ミゲル・リティンは軍政下のチリから亡命、八五年、祖国に潜入し「戒厳令下チリ潜入記」を撮った。自分を別人に仕立てるのがもっとも難しかったという。
年をとってから人格や習慣を変えようと思っても容易に出来るものでない。規則で縛るよりも酒も煙草も本人の意思に任せたほうがよい。
経営者は井口幸子さん。九十三歳。「母」の懐は大きい。 (古)
03/03/27