3月25日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】第二次湾岸戦争の経済的影響に対処するためルーラ大統領は二十一日、戦時経済体制として三十三日分の燃料備蓄計画を発表した。輸入に頼る部分が多い家庭用ガスやジーゼル油などには備蓄計画と消費規定を設ける方針としている。政府は、戦時体制管理局を各部署に設置して官房室の指揮下に置いた。また安全保障室(GSI)と官房室に戦時情報管理を行わせることにした。
大統領府はGSIと官房室の二カ所に情報収集局を設置し、GSIは陸海空軍の情報をコンピューター・C2Iオンラインで結び統括する。また外務省にも同様のIT機器を設置して、テロリストや戦争目的のブラジル人による隣国国境からの出入国を監視する。
イラク攻撃が確定して以来、大統領は戦時対策で頻繁にアナン国連事務総長や関係者へ電話連絡を取っている。国防省でも第二次湾岸戦争が国連決議を無視して始まったことで、力の政治に対する国際世論と世界情勢の変化を注視し格別に神経を尖らせている。
空軍省では、定例会議を中止し戦時対策会議へ急遽変更した。またヴィエガ国防相はリオ陸大で第二次湾岸戦争とブラジルの立場と題して講演を行う。前回の湾岸戦争はクエート侵略阻止という大義名分があったが、今回はヴェトナム戦争と同様に国連支持のないまま武力介入をしたことで、ヴェトナム戦争同様の泥沼化が危ぶまれている。
米政府のイラクへの武力介入に対するルーラ大統領の「国連無視」を訴える痛烈な対米批判は国際的に注目され、ブラジルが対外政策路線を変更するような印象を与えた。しかし在伯外交官筋は、結果的には前政権の外交路線に落ち着くものとみているようだ。
また外務省は、クエートのサッカー・クラブと契約を結んでいる選手十五人の要請を受けて一時契約解除の許可を取り付けた。一部のクラブは、選手の帰国回避のため旅券を没収していた。七人は独自の手段で同国を脱出、他八人は当分様子見をしている。トルコでもヴィオラ選手を含む四人が、契約の一時解除を外務省へ要請した。