3月21日(金)
アメリカに次いで世界第二の規模を誇る日本のソフトウェア市場の特性を知ってもらうと、JETRO(日本貿易振興会)サンパウロセンターはブラジル・ソフトウェア輸出協会(SOFTEX)との共催で二十日、サンパウロ市内のホテルでセミナーを開いた。
講師にはソフト貿易、コンサルティングの専門家である草房誠二郎氏(アイメトリックス代表)が日本から招かれ、対日輸出を狙うブラジル企業関係者を前に、約十八兆円と言われる市場の動向や日本企業の性格などを分かりやすく説明した。
始めに、「低迷する日本経済だが、情報コミュニケーション分野は順調に伸びている」とした草房氏は携帯電話端末の普及から、「いまや若い世代を中心に国民の六千万が自由にインターネットを使っている」と切り出した。
ただし、バブル以後、失業率の増加や、生産性・資本投下率部門に伸び悩みが見られると指摘。アメリカの企業と比較した場合、IT関連のインフラ整備に遅れが目立ち、「その生産性で劣る企業が全体の九割に上るが、問題のあるところにビジネス・チャンスはある」ときっぱり。
日本がソフトウェアの九〇%以上を北米から輸入していることについては、「日本人は新しいテクノロジー、プロダクツを探すのは好き。アメリカ・ブランドでないなかなか売れない」状況を認めた。
また、日本企業とジョイント・ベンチャーを起こす企業の出身国は中国、インドを中心にアジア勢が多いことに関して草房氏は、「中国は注文を取るのがうまい。文化的背景が似ていることがあるし、インドも日本のやり方をよく理解し順応性をもっている」との見方を示した。
これを踏まえて、ブラジル企業が日本企業と取り引きするに際しては▽文化と言葉の理解▽忍耐を持つ▽約束厳守―の三箇条が商談をスムーズに行う秘訣とし、「日本企業はビジネスを成立させるまでに時間をかける体制を強いているが、いったん始動すれば五年、十年と続く」利点があると強調していた。
サンパウロセンターの柳田武三所長によれば、ブラジルは教育・医療の分野に強みを持つ。マンパワーも優良で、「課題は情報収集とマーケィティングにある」という。
SOFTEXは昨年十二月に日本で行われたイベントに参加、すでにブラジルのソフトウェア商品について紹介している。