3月19日(水)
「日本史の中では、織田信長がおもしろい。石川五右衛門も好き」と少し早口だが流暢な日本語で話すのは、フォルタレーザ市にあるセアラ州立大学社会科学部のヘンドリック・リンデラウフさん(二一)。小さいころから独学で日本語を勉強し、今では同市に在住の日本人と全く不便なく会話できる。日本人の留学生、研修生や観光客が来る度に、市内を案内したりしている。親しくしている同大学日本語講座の原澤一弘講師や、他の日本人の友人もその熱心さと上達ぶりに舌を巻く。
六歳くらいの時に、友達の間で忍者や日本の武術が流行った。他の友人はやがて興味を失ったが、自分だけはなぜか、その後も興味を失わなかったという。平仮名、片仮名の独学に進むまで、時間はかからなかった。
「街で日本人を見かけた時は、追いかけていって話しかけたりしました」と語る。日本語がうまい、と褒められる度に、自信をつけ、さらに勉強する気になった。上達の秘訣を尋ねると、「僕はあつかましいから。でも、厚かましくないとダメ、と思ってるよ」との答え。
視線は日本だけでなく、日本移民にも向けられている。臣道連盟についてのフェルナンド・モラエス氏の著書〃CORACOES SUJOS〃も読破した。
「時々、どうしてこんなに日本語を話しているのか不思議になることがある」とさえ話す。英語を話そうとした時に、日本語と単語を混同してしまい、うまく話せないこともある。
「日本史は面白過ぎる。日本で勉強したい」というヘンドリックさん。葛飾北斎などの日本美術にも興味がある。
父親はオランダ人移住者。「僕は二世。だけど、(オランダには)全然興味がない。自分でもちょっと変だと思うよ」とあっけらかんとした様子。将来の夢は、と尋ねると、「もっと流暢な日本語を話せるようになりたい。あとは、日本に行くこと。これは、僕の人生だから」