政府開発援助(ODA)と言うと我々には遠い存在に聞こえるが、身近にもいっぱいある。総領事館などが福祉法人などに行う無償資金の提供もODAの一つ。日本はこの分野で長く世界一の資金援助を誇ったし途上国の発展を手伝いもしたけど近年は国内からの批判が多い。折角、援助したのに期待通りの成果が上がらず資金の使途についての疑問があったりで国会で問題になることも珍しくはない▼特に中国へのODA供与は正しいのか否かの論議は囂しい。あの国は毎年、毎年─軍事費を増額している国家だし原爆も保有し弾道ミサイルもある。こうした軍事大国に援助する必要性があるのかの意見が国民から出るのは当然すぎるほど当然と言っていい。こんな非難がやっと責任官庁の外務省に届いたのか今年度は前年比二五%削減と決まったのは幸いと言うべきだろう▼中国は援助大国でもあるし、ここいらで日本政府もODAの考え方や見直しを迫られていた。先週かに福田官房長官を議長とする会議があり「大綱」が決まったそうだ。その基本路線は「戦略性」「日本の安全と繁栄」「国益重視」である。これまでは対象国からの「要請主義」だったのを日本側の意向をも反映させる方針に切り替えるようにしたとも▼北米などの援助大国がODA実施に際し戦略性や国益重視の観点を大切にするのは当たり前だし日本が見習うべきは多い。南北問題の解決の一環・対象国の開発と発展が第一ながら援助する国の利益にもなるようなODAの考え方があってもいい。 (遯)
03/03/18