3月13日(木)
第一回ブラジル日本剣道剣術交流セミナーが、去る八、九、十日、北海道交流センターで催された。二天武道研究所の主催だった。日本から国士館大学の馬場欽司文学部教授(剣道・相撲指導者)および国士館ツルカワ・グループの七人、ブラジル側から約四百人が参加。馬場教授が「今日、いかに剣術を学ぶべきか」―刀の文化、刀の魂、その応用―を講義、実技を指導した。
馬場教授は、十一日午後、セミナーについて、というよりは、ブラジルで剣道を学ぶ人たち、日本から引率してきた学生たちにつぎのように言及した。
ブラジルのセミナー参加者は知的レベルの高い人がほとんど。道場で竹刀、木刀を跨ぐ(またぐ)ようなことはしない、作法どおりにやる。道場内だけでなく、外に出ても礼儀正しい、他人に対して思いやりがある、といった点で感銘を受けた。
日本の学生たち(今回三人来伯)は、「海外で実地を見ておきなさい」と連れてきた。ブラジルでは防具が少なく、古く、それを大切に使っていた。使い捨てでない、ものを大切にしている現実、熱心に日本の古い文化を学び取ろうとする態度を、かれらは実地で見た。片言でブラジル人と意思疎通し、ホームスティをさせてもらった。その結果、ここに住みたいともらすようになった。
馬場教授は、今回とくに二天武道研究所の主宰者、岸川ジョージさんに、馬場家に伝わる門外不出だった居合術「越後流」を伝授した。伝授すべき人はこの人、と思ったという。正座から行動を起こす、実戦的な居合である。また、今後継続して研究所に防具を送ると約束した。
「ブラジルの非日系人は日本では失われつつある東洋の文化を学ぼう、という姿勢がある。教えがいがあった。タネが撒かれたのだから、そのあとを見に機会をとらえてまた来伯したい」と述べ帰国した。