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年金制度改革 大統領、前倒し審議を発表=法案作成急がせる=税制改革は5月に上程=遅れるほど不利な改革

3月12日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】サンパウロ市アニェンビーの第九回国際工業見本市とダイムラー・クライスラー社に来賓訪問したルーラ大統領は十日、式辞の中で年金制度改革を四月に、税制改革を五月に議会へ上程することを発表した。大統領は側近などの意見も取り入れ、当初考慮していた年金改革で上半期中の計画を前倒し、一連の改革へ積極的に取り組む意欲を見せた。

 二十年前はメルセデス・ベンツ社の正門前で官憲の監視のもと金属労組の指導者として立った同じ場所で、今回は大統領としてブラジルダイムラー・クライスラー社長に迎えられ、同社本館前の舞台に立つことになった。大統領は席上、年金改革は五月前に、税制改革は六月になる前に議会へ上程することを確約した。
 大統領は企業家らに対し、上程に先立ち具体的で現実的内容の改革原案を、十分検討ができるように早期提出を求めた。上半期公約であるからと悠長に構えず議案の完成次第、一日も早く議会へ上程するとした。
 労働者に対し大統領は、改革が現労組幹部が指摘するような即席の粗製乱造ではなく、長い年月を経た集大成だと訴えた。労働者が労組の方針を理解できず狼藉に及び、労組は労働者を唆す騒擾団体とみなされ、官憲からビル屋上の柵際まで追い詰められた体験のない無知な現労組幹部の頭では、理解も想像もできない改革だと述べた。 
 大統領の声明は、閣僚の能力不足で改革原案がまとめられず優柔不断であると批評する声に応えたとみられている。議会では年金改革が政権の初年に表決できなければ、永久にできないとまで噂されていた。
 大統領は内心、年金改革だけでも上半期に上程できればと考えていたらしい。全国二十七州知事と主要都市市長会議が開催された二月、大統領は一連の改革に言及したところ全知事の総論合意を得た。
 しかし、税制改革では各州の利害が相反し知事らの意見をまとめる幹事連なくして税制改革の成功はないと、大統領はみた。同時に同じ幹事連の働きを生かして、年金改革も成功すると考えたようだ。