3月11日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ルーラ大統領は七日、コロンビアのアルバロ・ウリベ大統領とリオのイタマラチ宮殿で会談し、麻薬の流通阻止に向けた協力協定を結んだ。また両大統領は、コロンビアのゲリラがブラジル領土内で活動した場合に、コロンビア政府がアマゾン監視システム(Sivam)の情報にアクセスできる体制の構築を計画した。
ウリベ大統領は会談後、両国が協調して取り組む中心課題は、国境で流通する武器、麻薬、麻薬精製に使われる化学薬品を取り締まることだと発表した。同大統領は武器の闇市場をせん滅する行動の必要性を強調し、国境地域のテロ集団が闇市場によって潤い続けることを阻止する考えを明らかにした。
会談では犯罪抑止のための情報交換についても議論が行われ、両国の外務、防衛、法務大臣によって構成される政策遂行グループの設置が決定された。刑法事件に関する司法協力や犯罪者引き渡し相互協定も含めた、犯罪とテロの予防と制圧に向けた協力体制の確立と情報交換の促進が同グループの目標となっている。
「民主主義国家で、宗教問題の解決やイデオロギーの主張に、武器や脅迫が行使されたとき、それはテロリズムとみなされる。テロリズムは強欲で、倫理も人間愛もない」とウリベ大統領は述べ、テロ集団と対話する可能性を一切否定した。
外交筋の情報によると、訪伯前、コロンビア政府はブラジル政府にFarc(コロンビア革命軍)をテロ集団として正式に認めることを要請するつもりであったという。しかし、両大統領の会談中や、共同声明の中でも、その件は触れられなかった。
七日、ウリベ大統領の訪伯に反対するデモ参加者らが、コロンビアの社会改革運動家らをテロリズムと結び付ける計画に反対する抗議文をイタマラチ宮殿の門前で配布した。抗議文には、PT(労働者党)過激派に属する三人の連邦議員を始めとする政治家や労働組合員の署名が入っていた。PTの一部勢力は、過去にコロンビア革命軍と交流があったとも言われ、ウリベ政権に対する協力表明が党内で議論を呼ぶ可能性もある。
ウリベ大統領はルーラ大統領の決意が単なる言葉だけでなく、具体性を伴ったものだと賞賛し、またコロンビアのアマゾン地域の環境が、麻薬物質の栽培を行うテロリストによって破壊されており、放っておけば、数年以内にブラジルのアマゾン地域も破壊されると警告した。
両大統領は、現在ごく限られたものとされている両国間の経済交流の拡大、教育、科学技術など分野での相互協力を推進するとの決意も表明した。