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東北伯の旱魃 深刻化予想=ユネスコが警告=潅漑用水の確保急務=地球規模の渇水現象に

3月7日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】空気汚染と温暖化現象の加速により水源地が恒常的に消滅して二十年後、世界は危機的水不足になるとユネスコ・ブラジル代表のコウイチロ・マツウラ氏は五日、公式発表をした。ブラジルの水資源は、世界百八十二カ国中二十五番目にランクされ、世界淡水資源の一二%を有し恵まれた環境にあるが、治水対策が貧弱なため配水システムは極めて偏重しているという。そのため東北伯地域には、深刻な旱魃予測が出ている。

 第三回世界水フォーラムの京都会議は三月十六日から二十三日まで開催され、人類に差し迫っている渇水現象を協議する場となっている。ユネスコのコウイチロ・マツウラ氏の報告では、世界水資源の三分の一が今後二十年の間に消滅し、砂漠化が進行し耕作面積も減少するという。
 ブラジルの水資源は豊富だが配水に対する政治対策がないので、発電用の貯水湖はあるが潅漑用の貯水湖は少ない。これからの農業生産と潅漑用水の確保は、二十一世紀の地政学的課題という考え方もある。
 東北伯地域の住民が日常の飲料水に事欠く事態に至る前に、治水政策は必要だとユネスコは警告している。貯水湖の造成や運河の開設、植林による水源地保護、潅漑設備による農耕などが国策として急がれている。
 ユネスコの報告では現在四十八カ国、二十億人が水不足に悩まされている。二
〇五〇年には世界の人口は九十三億人に達し、七十億人が水不足で苦しみに喘ぐとしている。最も危機状態にあるのはクウェート、続いてパレスチナのガザ地区、アラブ首長国連邦、バハマ諸島など。
 ブラジルを含む熱帯や亜熱帯地域に限らず異常気象の影響は、平均で二〇%の降雨減少をもたらした。河川の淡水保護のため上下水道の完備が、国際会議で毎回取り上げらるが、効果が上がってないと報告書は指摘している。ブラジルの場合、都市住宅の九二・七%に水道が敷かれている。
 東北伯地域では下水道の普及は三七・七%で、残りは河川や海へ放棄している。ブラジルの水資源ではアマゾン川とパンタナル湿地帯が、ブラジル中央西部の穀倉地帯を砂漠化から守る天恵の地形といわれている。