3月7日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】大統領に就任して丸二カ月、招待されたらエネルギッシュにどこへでも出掛けたルーラ大統領は一日、全ての招待を断りグランジャ・トルトの大統領別邸に休養のため引きこもった。早朝八時から夜十時までの強行日程と中央集権的な政治手法は、そろそろ疲れを見せ、頭髪が急に白くなり老けた。また急に毛が抜け薄くなったようだ。
大統領選はまどろむ間もない強行日程、神経を過度に消耗する公開討論と激務の連続だった。選挙が終わると、直ちに政権構想に入り一日も休めなかった。当選して大統領に就任すれば、全国民の注視を一身に浴びて全ての圧力に耐え緊張の連続であったと、メルカダンテ上議は同情する。
パライバ州管区のドン・カバリェイラ大司教は二十日、プラナウト宮に大統領を訪ねた。かつて闘志に溢れた大統領の面影はなく、憂いに沈んだ陰鬱な姿をそこに見たという。さっぱり進展しない改革計画、それみろと言わんばかりの冷淡な批評、理不尽なごり押し交渉に明け暮れ、当初計画の貧窮者や社会疎外者にまで手が回らないことを苦にしていたと大司教が述べた。
組閣では選挙協力の代償を求め横柄な要求と圧力が掛けられ、上手に断るのにひと苦労し、はらわたの煮えくり返る思いだったと大統領がつぶやく。閣僚らは、それぞれの施政方針で門出したが、月間報告に来て愚痴をいう者、責任転嫁する者、打ちひしがれた者とあり、励まして送り返す始末という。
大統領の持病は金属工以来の五十肩で、大統領の挨拶スタイルは誰とでも抱擁することであったが、実際は痛みを堪えての抱擁であった。万年筆をいじって遊ぶ大統領の癖は、不本意を知らせるサインだ。
政治科学専門家のマリニス氏は、大統領はまだ何もしていないという。大統領人気は蜜月時代が終わる三カ月後ころから四〇%は低下する。政治を行うとは、国民の利害を得する者と損する者に二分することで、多くの支持者が失望感で離れて行くと同氏は述べた。
年金改革でルーラ票は急減すると同氏は見ている。年金改革は長引くほど、反対派が結束して困難になる。ルーラ支持票が低下すると、他の改革もやりにくくなる。年金改革は、まだルーラ支持率の高い早いうちに表決したほうがよいと進言している。