3月6日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】コロンビアのウリベ大統領の来伯に先立ち、米軍南部管区のジェームス・ヒル司令官が三日、南米大陸を侵食する麻薬とテロ組織を壊滅して治安を確立するため専門の連合特殊部隊の設置をブラジル政府に提案してきた。米国防省が南米地域の治安維持協定として立案し、南米大陸での優先事項とすることを要求したもの。ブラジルを中継基地として暗躍する国際組織に、米政府が介入する意向らしい。
米国防省は冷戦に代わるものとして、南北大陸各国と治安協定を締結し、南北米連合軍の麻薬専門の特殊部隊設置を立案した。各国が現在、直面している恐怖は軍事不均衡や隣国の侵略ではなく、テロリストや麻薬組織、武器密売、公文書偽造、組織犯罪、不正送金などの不法活動だとヒル司令官は指摘した。
米中央情報局(CIA)は、南米各国でテロリストが麻薬組織やイスラム原理主義者と結託し活動している事実を確認したと発表した。これらのグループは、ブラジルを初め各国政府の監視の目を逃れて活動しているという。
同司令官は米州機構(OAS)の治安会議に出席し、従来の軍活動の目的見直しを求め、各国軍との連携関係を強めることを提案した。米軍特殊部隊は訓練と装備で問題に対応できる水準にあり、各国軍とは友好関係を結びたいと述べた。
ブラジルは米国に次ぐ麻薬大国であり、麻薬国際組織がブラジルを中継基地として利用することを、これ以上無視できないと同司令官が警告した。このヒル発言には、ルーラ大統領も注目している。
麻薬とテロが結託して、最も治安を脅かしているのはコロンビア、続いてパナマ、エクアドル、ペルー、ベネズエラ、パラグアイなどで、平行して武器密売、誘拐拉致をスリナム、グアイアナ、メキシコにまたがり展開している。
CIAの調査では、麻薬とテロのルートとインフラが、いつも同一方法でハマス、ヒズボラ、ガマハトなどのイスラム原理主義の国際組織によって、麻薬や武器、不法入国移民の斡旋、旅券の偽造、その他違法取引に使われていると発表。
違法取引決済でパラグアイのエステ市の銀行とベネズエラのマルガリタ島の銀行を通じて、数百億ドルの資金が動くとされる。資金の洗浄やテロ活動への融資に携わる金融マンは数知れないと、CIAが警告した。