3月1日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】マテウス・リオ州知事から陸軍の出動要請を受けたルーラ大統領は二十七日、カーニバル開催中のリオの治安と秩序維持のため出動を受理した。拘禁中の受刑者が商店の略奪や路線バスの放火などを犯罪組織へ指令したことで、大統領は不安と不穏、恐怖感が漂う市中の秩序回復のため陸軍の出動を決断した。また海空軍の待機も命令し、必要とあれば期間延長して示威行動も行うという。
リオ市は鎮圧後も、散発的に路線バスの焼き打ちや巻き添えくった市民が六人死亡するなどの事件が相次いでいる。カーニバルの開催中は軍警を中心に犯罪組織の拠点警備に当たり、陸軍が後備役として非常用即時出動の待機態勢に入ることになった。
陸軍リオ師団の起用は、大統領とヴィエガ国防相、安全保障室のフェリックス大佐の間で、リオ州知事の要請を五十日間の〃緊急事態〃として受け入れることで決定をした。社会撹乱を引き起こす危険人物の専用刑務所も、ブラジリアに建設することを決定した。
リオ州知事は二十七日、事件の核とされるベイラマールの処遇で、三十日間の一時的処置としてサンパウロ州プレシデンテ・ベルナルデス刑務所へ護送したが、その後の州内引き取りを拒否した。同受刑者の取り扱いは、連邦政府の責任下にあると同知事は主張した。
リオの犯罪組織には、法務関係者や政治家が関係していることも問題になっている。新聞紙上を賑わす捕り物劇は、末端の小物逮捕に過ぎないという批評だ。
犯罪組織は多国籍組織であり根が深く、終局的に多国籍組織との取り組みに発展すると指摘されている。
これまでの政権はいずれも、犯罪組織に馴れ合い介入をして、犯罪の核心に迫らなかったといわれる。犯罪組織上層部から差し出された指定犯人を頂き、マスコミに流して警察の手柄のように宣伝した傾向があると専門家が糾弾した。
組織が政治家を支配するのか政治家が組織を統治するのか、大統領は挑戦すると宣言した。蛇に睨まれた蛙のように組織のボスの顔色を伺う政治家も多いが、政府の機構にも犯罪対策には不向きな鈍行動物のような面も多いと、ルーラ大統領は嘆いた。
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