外交樹立120周年を考えるたび、かつての強力な〃コロニア〃はすでに消滅した―という気がする。一体感を持つ一世中心の組織としてのコロニアのことだ。今も日系団体は数多くあるが、以前の密接な関係は薄れた。志を継ぐ二世が多い地域がなんとか継続―という感じか▼90年代前半までは、農協中央会から単協群が手足のように全伯に伸びて活発に経済活動を行い、その人脈が地方と中央との連携を緊密化していた。その強い絆を背景に周年行事が盛大に挙行され、芸能文芸活動にも潤いを与えていた▼コロニアは戦前移民の団塊世代(1930年前後にまとまって渡伯した世代)が中心になり、戦後世代と力を合わせて盛り上げたが、団塊世代が寿命を迎えた80~90年代に弱体化した。そのあおりを受け94年のコチア、南伯崩壊でコロニアは手足をもがれ、98年の南銀合併で頭を失った印象だ。南銀の橘富士雄氏が亡くなった後はとびぬけた指導者も居なくなった感じだ▼移民百周年の準備を始めた04年頃までが「日系社会終末論」の危機感を訴える声が最も高かった。日伯学園構想や百年祭の組織作りは「次の百年を考える」ことに繋がっていたからだろう▼そんな百年祭は6年前に終わり、昨年はレジストロ地方入植百周年、今年はカンポ・グランデ、ペドロ・デ・トレドという「地方百周年」の時代だ。南聖、沖縄系のような継続の努力を懸命にする地域や団体だけが世紀の節目を超える〃新しいコロニア〃の基礎となるようだ。このような古い〃先進〃地域には、次の百年を睨んだ後継者育成の方法、他地域にも応用できるやり方を編み出してほしい。(深)