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骨髄ドナー登録に協力を=10月に白血病と診断=ファビアナさん呼びかけ=アジア系提供者は希少

 日系三世のファビアナ・イケダ・デ・オリヴェイラさん(37)が今年10月に「急性リンパ性白血病」と診断され、すぐにでも白血球の血液型が100%適合するドナー(提供者)から骨髄移植を受ける必要があるという。しかし、ブラジル骨髄バンク(REDOME)にはアジア系ドナーが少なく、夫ダニエル・ゴンサウヴェス・デ・オリヴェイラさんが中心となってドナー登録を促すキャンペーン「Voce Pode Salvar Fabiana Ikeda」(www.fabianaikeda.com)を実施している。国内にはアジア系患者がまだ113人もおり、ファビアナさんは「キャンペーンは私だけではなく、全ての患者にとって有益なもの」と協力を呼びかけている。

 ファビアナさんはサンパウロ市リベルダーデ区生まれで、2013年に念願の公務員試験に合格し、社会開発省に勤務していた。二人の子供を育て、週末は家族と過ごすという幸福な生活は白血病の診断で一変した。
 「5年前に従姉妹を、3年に母親を白血病で亡くした。辛いけれど、診断から時間が経って気持ちも落ち着いた。ドナーを見つけて治せるって信じている」と明るく日々を過ごしている。
 白血病は別名〃血液のがん〃と呼ばれ、骨髄中で造血細胞(血液を造る細胞)ががん化し、無制限に増殖する病気。未治療の場合は死に至ることもある。ファビアナさんのように、化学療法や輸血では治癒が困難なケースは、正常な骨髄細胞を移植する骨髄移植が行なわれる。
 REDOMEに登録する350万人のドナー中、アジア系はわずか3・4%の11万7300人。他人種間でも適合するドナーを見つけることは可能だが、血液学専門医アレシャンドレ・ヒラヤマ氏によれば「黄色人種同士の方がDNAの類似性が強く、適合する可能性が高い」という。
 ブラジル骨髄患者登録機関(REREME)によれば、国内の患者1万1千人中、日本、中国、韓国など黄色人種は113人。適合するドナーが見つかる可能性は非血縁者間で数百~数万分の一と言われ、彼ら全員にドナーをあてがうには、何倍もの登録者が必要になるという。
 ダニエルさんによれば問題は登録者の数だけではない。「ファビアナは祖父母が日本人だから」と日本の骨髄バンクでのドナー探しを切望しているが、REMEMEは「世界のどの国においてもドナーが見つからない場合、最後に日本で探してもよい」と不合理な回答をしているという。
 ダニエルさんは「ヨーロッパやアフリカ、米国で探し、最後にアジアを探すと言う方法は、アジア系患者にとっては非合理的。ブラジルの人種的多様性を考慮し、日本も含めた複数の国で同時に探すべき。アジア系患者はこの無関心で非人間的なやり方の犠牲になっている」と憤慨している。
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 ドナー登録の条件は18歳~54歳までの大人で、感染症などの病気を持たず、健康であること。全国の血液学センターで5~10mlの血液を採取し、いずれかの患者とDNAが適合すれば、骨髄を提供できる。入院期間は一日程度、手術は注射器による骨髄の採取で行なわれる。詳細はREDOMEのサイト(www.medulaossea.org.br)を参照。