空想の世界の人物が時に現実として姿を表すことがある。
熱血教師を描いたTVドラマ「金八先生」。多感な中学生を受け持つ主人公が、生徒との摩擦や対立を乗り越える「師弟愛」の物語だ。
〈こんな先生いねえよな〉。決して品行方正な学生ではなかった私は、しばしば冷めた目で、ブラウン管の中で奮闘する彼の姿を眺めたものだ。 ところが現実は空想を超えていた――。チョークの代わりに太鼓のバチを手にした「金八」が、ブラジルにいた。昨年、和太鼓の指導者として来伯した小田幸久さんだ。
生徒らが練習の成果を披露した先日の発表会。壇上から見守った小田さんは、「愛情があれば最後には分かり合える」と半年間を振り返った。
人種や世代を超えて広がりつつある和太鼓。海を渡った「金八先生」の挑戦は続く。 (記)
03/02/22