2月21日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】中央銀行通貨政策委員会(Copom)は十九日、インフレ減速を目的とした強硬対策を打ち出し、一月二十二日に〇・五%上げたばかりの指標金利を、年間二五・五%から二六・五%に再度引き上げると発表した。また各銀行に対する中銀供託金率も四五%から六〇%に引き上げられるため、金融システムからの流動資金八十億レアルが供託金として中銀に吸収されるとみられている。
「インフレが長続きする傾向を見せているため、指標金利と(銀行通常口座の)現金預金に対する中銀供託金率を引き上げることにした」と、中銀側は説明した。指標金利引き上げは、金融市場から強く望まれていたが、現金預金の中銀供託金率引き上げには驚かされている。
ルーラ政権に入ってから、指標金利の調整は二度目となる。カルドーゾ政権最後の年だった昨年からの調整回数は五回に及ぶ。二六・五%は一九九九年五月の二七%以来の高金利となった。昨年十月には年間一八%に止まっていた。
指標金利や現金預金の中銀供託金率の引き上げによって、景気は後退すると専門家は推測している。高金利によって人々は消費を控え、企業も投資を懸念する。経済循環は確実に悪くなる。
現金預金に対する中銀供託金率も高金利と同じような影響を与える。これまで銀行側は、中銀から一切報酬を得ずに、各銀行の顧客が通常口座に振り込んだ預金の四五%を中銀に支払っていた。これがこのほど六〇%まで引き上げられたことで、銀行は驚愕している。
銀行側は中銀に総額約八十億レアルを支払わなければならなくなる。これによって銀行側は、銀行の融資金利を引き上げるとみられている。
指標金利引き上げにより、特別小切手の金利は年利二二〇・〇六%から二二二・五一%に引き上げられる。企業が日常必要とする運転資金の回収金利も年利六二・三%から六三・六五%となる。
アントニオ・パロッチ蔵相は十九日、指標金利引き上げに対し、「ブラジルの経済成長が妨げられるとは思えない。政府の金融政策が経済状況を改善し、経済成長につなげていく」と言明した。
一方野党と政府与党PT(労働者党)の過激派から、同日批判と皮肉の声が上がった。旧政府与党のPSDB(ブラジル社会民主党)側は、昔のPTの経済に対する演説と、現在の経済政策があまりにも違いすぎると指摘。PT過激派は、「このまま中銀のやりたい放題にすれば、永遠に中銀の言いなりになってしまう」と批判。PT過激派は以前から外資系ボストン銀行総裁だったメイレ―レス中銀総裁の就任を批判しており、「パロッチ蔵相は一体どこの世界で生きているのか」と激怒した。