2月14日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、ジアーリオ・デ・サンパウロ紙十三日】新生児だったペドリーニョ少年を誘拐し、自分の実の子供として育てていた企業家のヴィウマ・マルチンス容疑者に、さらに新たな事実が加わった。同少年の実姉として育てられてきたロベルタ・ジャミリー・マルチンスさんも実は、乳児のころ同容疑者に連れ去られた子供だったことが、警察がロベルタさんの許可なしに行ったDNA検査で明らかになった。
ロベルタさんの誘拐疑惑は昨年、伯母で同容疑者の姉妹であるギオマール・マルチンス・コスタさんの告発によって始まった。だが、DNA検査によってロベルタさんがヴィウマ容疑者との血のつながりがないことを証明しなければならなかった。
ロベルタさんは、一向に検査に協力する意志を見せず、そのまま年が明けた。DNA検査センターから検査に使えるマテリアルの指導を受けていたゴイアス州市警犯罪捜査課(Deic)は、ロベルタさんが喫煙者であることを利用してマテリアルの回収を試みた。
警察はDNA検査センターの検査員を呼び、署内でロベルタさんが吸ったタバコの吸殻を回収。吸殻についた唾液からDNA検査を行った結果、ロベルタさんはヴィウマ容疑者の娘ではなく、一九七九年三月四日にゴイアニア産科病院から生誕後すぐ誘拐されたアパレシーダ・フェルナンダさんであることが確認された。
ロベルタさんの実の母親であるフランシスカ・マリア・リベイロさんは、「わたしの娘が生きていて本当によかった。娘の方からわたしにコンタクトをとるのを辛抱強く待つわ」と歓喜に涙を見せていた。
こうしてロベルタさんの本当の身分が分かった今、「本人の許可なしにDNA検査を行うことはプライバシーの侵害あるいは違法にはならないのか」との問いが各伯字紙で見られた。実際この問題は、同州検察局や司法関係者の意見を真っ二つに分けている。
刑事裁判所総裁のジョゼ・レナト・ナリーニ判事は、「透明な形で証拠を得ることが一番だ。被害者に罠をかけてまで得た証拠では、裁判所側が証拠と認めず拒否される可能性もある。いつでもほかに証拠を得る方法はあったはず」と注意を促している。
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フォーリャ・オンラインよると、ロベルタさん(二三)は十三日午後、ゴイアス州ゴイアニア市にいる実の母フランシスカさんに会いに行った。二人は一時間ほど会話した。フランシスカさんは、「まさか娘が自主的に会いにきてくれるとは思わなかった。きょうはとても幸せな日です」と感涙した。