昨年の選挙で日系人候補は不振を極めた。国政レベルで開票時、唯一当選を決めたのがパラナ州から出た高山秀和氏だった。州議員をつとめたことはあるものの、同氏が議員としてどんな考え方をしているのか、あまり明らかでなかった。最近、パラナ新聞紙上で、活動目標の一端を披瀝していたので紹介することにする▼一つは、労働者の農村離散の歯止めだ。米国を例にとる。同国の農村人口は全人口のわずか二%。政府は農業者に強い補助を与えている▼ブラジルには補助がない上、雇用主に負担の大きい労働法があるため、正規の労働者を雇いにくい。減る一方である。農村を離れた労働者は都市部に集まり、貧民街を形成し、社会的にさまざまな問題を起こす。根本は農村・農業政策にある、という▼もう一つは教育問題。パラナ州は連邦総合大学が一つしかない。南東部の他州に比較し少なく、大学教育に州の予算を多く割かなければならず、負担が大きい。いきおい、基礎教育に十分な予算を回せない。高山氏は主張する。「大学教育はあくまで連邦政府が予算面で主体となり、州は小学校から中学、高校までの教育を徹底すべき」▼過去、中小農が多かった日系の農業人口は、早くに(日系総人口の)一〇%を割り込んでいた。やむをえず離農したケースも多かったことだろう。高山氏が、なにはともあれ、農業問題に関心、理解を持っているのを知り、やはり「日系人なのだ」と思った。(神)
03/02/14