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膨張するサンパウロ市の貧民街=過去10年で30%増加=所得低下しファベーラへ

2月13日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十二日】サンパウロ市と都市研究センターの調査によると、一九九一年から二〇〇〇年までの十年間で、市内四百六十四カ所に貧民街が新しく生れた。これは、八日間に一カ所の割合で貧民街が生れたことに相当する。同時期、市の人口は八%増えたが、貧民街人口は三〇%も増加した。
 貧民街の大きさはそれぞれ異なる。サンパウロ市南部サコマン区エリオポリス貧民街の一平方キロメートルという市内最大規模のものもあれば、南部シダーデ・アデマール区アントニオ・フォガル貧民街(四十六平方メートル)のようなミニ貧民街もある。
 現在、貧民街総数は二千十八カ所。貧民街の総面積は三十・六二平方キロメートルで、サンパウロ市の面積の二%に相当する。九一年、市の一千九百七十五カ所に貧民街があった。
 貧民街の総人口は国内第十二位の都市になれるほど多く、その数百十六万人。大サンパウロ市圏グアルーリョス市の人口よりも多い。
 九一年には、貧民街の人口は八十九万一千六百七十三人だった。二〇〇〇年までに三〇%も増えており、この傾向をサンパウロ市側は警戒している。同時期サンパウロ市全体の人口は八%増えただけで、一日に市民七十四人が貧民街住民と化したことが明らかになった。
 調査を行った専門家たちは、この現象の原因を、市民の所得が下がっていることで市民が貧民街へ追いやられているためだと説明。サンパウロ市居住局のパウロ・テイシェイラ局長は、「九〇年代の貧しさの象徴はファベーラ(貧民街)だろう」と話す。
 カンピーナス州立総合大学(Unicamp)のアミウトン・モレット教授は、「貧民街の増加は、失業率を上げ、所得を下げた政治経済対策の結果である」と言明している。
 サンパウロ市郊外のいくつかの地区では同時期、一家の大黒柱の平均所得が一〇・九六%も減った。九一年、まったく所得がない大黒柱は十二万三千六百三十八人だったが、二〇〇〇年には一五二%増の三十一万一千三百十八人まで達している。